LiSA、ちゃんみな、BE:FIRSTらのボーカルを支える重要人物 佐藤涼子=りょんりょん先生の内面まで鍛え上げるボイトレ術
「喉おかしいかも、出にくいかもって思ったら、なおかつ余裕の笑顔で。そうやって歌詞の方へ行って自分を騙すこと。気にした顔を絶対にお客さんの前でしないこと」
その話を聞いて、どこか安心したような表情を浮かべるLiSA。言葉をかけるのは、「りょんりょん先生」と呼ばれるボイストレーナーの佐藤涼子だ。Netflixのドキュメンタリー映画『LiSA Another Great Day』(2022年)のなかで、LiSAがりょんりょん先生のボイストレーニングを受けているところが映し出されているが、その様子は私たちがイメージする「生徒が立って声を出し、先生がピアノを弾きながら指導する」という風景ではなかった。りょんりょん先生は、開演前のライブ会場の人気がない通路をLiSAと一緒に走りながら、「あぁいー」と発声していた。
そんなりょんりょん先生について、LiSAはこのように発言する。
「子供の頃はなにも考えずに楽しく歌えたんですけど、大人になっていくにつれて、自分の体の変化とか気持ちの変化とか、出会う曲の難しさとか、そういう壁にぶち当たって。それがなぜそうなっているのかっていうのが分からなかったんですけど、りょんりょん先生に付いてもらっていろんな謎を一緒に解明してもらって、今は自分の歌にハプニングが起きたとき、難しい壁にぶつかったとき、その乗り越え方を発見できるんじゃないかって。自分でも知らない歌がまだあるんじゃないかって、すごくわくわくしています」
ちゃんみな「人間としてあるべき姿を教えてくださる」
国立音楽大学声楽科卒業後、二期会オペラスタジオ32期生として数多くのオペラ、ミュージカルの舞台に立ったというりょんりょん先生。30歳のときにゴスペル歌手・亀渕友香率いるコーラスグループのメンバーとなり、その亀渕の誘いで本格的にボイストレーナーに。J-POP、ロック、ヒップホップなど多岐にわたるジャンルのアーティストを指導し、桜井和寿(Mr.Children)、SEKAI NO OWARIらから絶大な信頼を寄せられる存在となる。近年も藤井風、BE:FIRSTらを担当している。
2021年6月20日放送『情熱大陸』(TBS系)が特集した際、同番組はりょんりょん先生のことをこのように紹介している。
「時に佐藤は、心に闇を抱えたアーティストを回復に導き、内面まで鍛える。 “心技体”を極める『歌道・りょんりょん流』は業界でも高く評価され、門を叩く生徒は後を絶たない。佐藤の活動の場は、レッスンスタジオだけではない。担当アーティストのツアーや音楽番組へも帯同し、心身ともに支えている」
歌唱技術の向上はもちろんのこと、アーティストの内面も支えるのが「りょんりょん流」。同番組ではりょんりょん先生がちゃんみなのツアーに帯同する様子に密着していたが、そのちゃんみなも自身のTwitterで「先生の指導は、歌を上手にするだけでなく 私が私である事の重要さ、私にしか出来ない歌い方、人間としてあるべき姿を教えてくださり、叱ってくださり、愛してくださる偉大で勇敢な方です」とつづっていた。
また、BE:FIRSTを生んだオーディション番組『THE FIRST』にボイストレーナーで参加したりょんりょん先生。個々の強みや弱点を理解した上で、的確に歌唱技術の指導を行い、メンバーを導いていく。右も左もわからないメンバーが一つのアドバイスでみるみるうちに上達していく様子は、潜在能力を開花させるりょんりょん先生の技量を感じさせる。