星野源、Number_i、YOASOBI、アイナ・ジ・エンド、花譜 & 岸田繁、[Alexandros]……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

　毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は星野源「光の跡」、Number_i「GOAT」、YOASOBI「HEART BEAT」、アイナ・ジ・エンド「帆」、花譜 & 岸田繁「愛のまま」、 [Alexandros]「todayyyyy」の6作品をピックアップした。（編集部）

星野源「光の跡」

　あらゆる人はいつかいなくなり、やがてすべて消え去る。それでもなぜ、自分たちは惹かれ合い、思い出を残そうとするのかーー。『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』エンディング主題歌として書き下ろされた「光の跡」は、人の営みに対する根源的な問い、どうしても光を求めてしまう人間の在り方と結びついた楽曲だ。映画のストーリーに寄り添うために、一人旅に出たという星野源。そのなかで感じたことをベースにしたこの曲には、彼自身の精神的な軌跡が確かに反映されている。80年代のR&B〜90年代のHIPHOPを現代的なサウンドへと昇華させた音楽性、儚さとしなやかなさを共存させたボーカルもきわめて魅力的。あえて凝りすぎず、ストレートな表現に徹したことも功を奏している。（森）

Number_i「GOAT」

　平野紫耀・神宮寺勇太・岸優太が、TOBE加入後に結成した新ユニット Number_iとして初めてのデジタルシングル。楽曲を手がけたのはSHUN（FIVE NEW OLD）、MONJOE（DATS）、Pecori（ODD Foot Works）の3名。攻撃的な低音が襲いかかってくるHIPHOPナンバーは、この新生ユニットが最初から世界標準を狙っていることをはっきりと伝えるもの。ポップなメロディはどこにもない曲だが、こんな声も出せるのかと驚く三者三様のラップが最後まで耳を惹きつけていく。さらにはコレオグラフも含めてMVがとにかくハイクオリティ。二枚目アイドル路線には収まらない「遊び」や「はみだし」の部分が特に秀逸だ。（石井）

YOASOBI「HEART BEAT」

　12月25日に放送された『YOASOBI 18祭』（NHK総合）テーマソング。全国の18歳世代から募集したメッセージ、動画などを原作として書き下ろし、コーラスアレンジをコーラスシンガーの田中雪子が担当。みんなで手を叩き、足を踏み鳴らして歌う合唱曲に仕上がっている。いつの時代も若者は将来について悩むものだが、特に今の18歳は、コロナによる不安の中で高校受験を経験し、高校生活の楽しみの半分ほどを奪われてきた世代。「みんなで歌う」こと自体が叶わなかった時期も長いので、響き渡る分厚いコーラスはそれだけで感慨深い。YOASOBIらしいジェットコースター的展開はないが、ゆったりしたメロディだからこそ、ikuraのボーカルがどれほど正確にテンポを刻んでいるかもよくわかる。（石井）