Sexy Zoneが最上級の愛をもって“Sexy Zone”を守り抜く 改名前最後のドームツアーを観て

Sexy Zone、改名前ラストツアーレポ

 ゴールドに光るラメスーツに着替えて、再びステージに戻ってきた4人。昨年末、マリウス葉のラストステージとなった際の衣装は、シルバーのラメスーツだった。それとは対照の色で彩られたセットアップを身にまとい、「本音と建前」、「Purple Rain」を歌っていく。クライマックスのステージ衣装がゴールドというのは、その後に続く「Forever Gold」にかけたものなのだろうが、この4人となったSexy Zoneとしてこの曲たちを歌うため、そして“SZメドレー”として懐かしいシングルやカップリング曲などを披露し、12年過ごした青春を凄まじい速さで駆け巡るなかで、マリウスのソロ曲「ダンケ・シェーン」を4人で紡ぎ歌うための衣装のようでもあった。

 メドレーから再び「Forever Gold」へと舞い戻り、肩を組んで歌い終えると、ステージのバックモニターには初ライブ時の初々しいメンバーをとらえた写真が映し出される。デビュー曲のセルフタイトルナンバー「Sexy Zone」だ。デビュー当時のパフォーマンス映像を背に、4人はこの曲を歌う。その姿は、ファインディングポーズをとるようでもあった。ビート、リリック、振付、すべてが本気を撃ち抜いていく。彼らは彼らなりに考え、考え抜いて、12年間の歩みと“Sexy Zone”を守るための選択をした。それが改名することだった。名前が変わったとしても、Sexy Zoneはここまで強くなったのだから大丈夫ーーこの日の「Sexy Zone」は、それを証明する歌として響いた。

 最後の挨拶、中島がゆっくりと語る。「“Sexy Zone”という名の下でこのステージに立つのも限られてきた」と言う表情は、やはりどこか寂しげでもある。「俺の20代最後のツアー、そして20代最後のクリスマスをみんなに受け取ってもらいました」「アイドルの神様がいるから……」と前置きして、あらためて「メリークリスマス」と言い、「そして最後に、Sexy Thank you forever」と彼らしく結んだ。佐藤は、デビュー後なかなかドームという舞台にたどり着けなかった日々を正直な悔しさをもって振り返る。この日も「全力で魂をぶつけました」と。常に全力でいた時間が、こうやって3大ドームツアーへと実を結んだのだ。「『Sexy Zoneの松島聡です』って言えるのもあとわずかになってしまった」と語り始めた松島は、「たくさんこの景色を観てきたけど、何回(ライブを)やっても飽きない」と言っていた。何度も口にしてきた“Sexy Zone”という名前もそれと同じだけ、もしかするとそれ以上に、飽きることのない、大事なものだ。

 菊池は、「僕たちとみんなを繋いでいるのが“Sexy Zone”という名前だとするなら、僕は本当に今誇りを持ってここに立つことができています」ーー。続いてこう語る、「『これが最後のライブなんだな』『これが最後のリハーサルなんだな』『“Sexy Zone”として、どれだけの時間が残されているのか』なんて思いながらここ数カ月を過ごしていますが、やっぱりこうやってみなさんの前に立つと、そんなネガティブな気持ちはちょっと忘れて、本当に夢のようなひと時を過ごさせてもらっています。永遠なんてきっとないんですけど、でも永遠を信じられる、そんな僕たちでいたいなと心から思っています。時間に縛られず、限りなく僕たちの思い出は、この12年間は、胸のなかにあります」ーーそして、ラストナンバー「timeless」が始まった。会場がオレンジのペンライトの光で染まる。ステージのモニターにはマリウスの映像が映し出される。振り返ってみれば、この日のSexy Zoneは4人だったが、ずっと5人でもあった。4人でマリウスのソロ曲「ダンケ・シェーン」も歌った。「Sexy Zone」では、ラストのフォーメーションでひとり分のスペースが空けられていた。「timeless」でセンターポジションにいたのはモニターに映るマリウスだった。最後まで、Sexy ZoneはSexy Zoneだった。

 アンコールで、メンバーはトロッコに乗って登場。「Sexy Summerに雪が降る」、「King & Queen & Joker」の2曲をクリスマスプレゼントとして弾き飛ばす。再びステージに降り立つと、猛々しいアコースティックギターが鳴って始まったのは「RUN」。最後の一曲だ。花道を全力で走りながら〈止まらないで 止まらないでよ 僕らはまだ始まったばかりさ〉と歌う彼らは、とても切実だった。それと同じ表情をオーディエンスもしていた。止まらないために、走り続ける。その意思を宿したこの日の「RUN」は、本当の意味でこれから始まっていく第2章への架け橋でもあり、自分たちに言い聞かせる宣言のようでもあった。そして、冒頭のシーンへと繋がるわけだ。

 この日があったから、このツアーがあったから、それぞれがこの12年のあいだで目にしたたくさんの彼らの姿があるから、わたしたちはSexy Zoneをいつでも呼び起こすことができる。それだけは誰にも奪うことのできない、消えることのない事実だ。お守りのような夜だった。

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