Official髭男dism、Kroi、TOMOO……IRORI Recordsの2023年を総まとめ 層の厚い良質な音楽で話題をさらった1年

Bialystocks

Bialystocks アーティスト写真

 昨年リリースのメジャーデビューアルバム『Quicksand』が第15回CDショップ大賞2023地域ブロック賞を獲得。今年に入ってからは4月に初のCMソング書き下ろし(ソフラン エアリス(Airis))という意外性にファンを驚かせつつ、アルバム後の新章を印象づける柔らかで軽やかなニュアンスの「頬杖」をリリース。

Bialystocks - 頬杖【Music Video】

 春フェスへの出演を経て、全国6カ所に渡る本格的なツアーは追加公演であるEXシアター六本木を含め全公演ソールドアウトを果たし、改めて注目度の高さを実証した。新曲群のアプローチもユニークなアレンジが際立ち、インディポップと音響派が邂逅したような「Branches」や、『きのう何食べた? season2』(テレビ東京系ドラマ24)のエンディングテーマのために書き下ろした「幸せのまわり道」をリリース。同曲では音源で初めて甫木元空(Vo)がトランペットを演奏している。菊池剛(Pf)の一筋縄では行かないアレンジも相まり、普遍性と未知の音像の両方を極めつつある。

Bialystocks - Branches【Music Video】
Bialystocks - 幸せのまわり道【Official Audio】

Homecomings

Homecomings アーティスト写真

 結成10周年となった2023年はメジャー2ndアルバム『New Neighbors』をリリースしたHomecomings。1曲ごとにテーマを設けたり、タイアップに取り組んだりと、結果的に強い曲が並んだことで、インディポップの良心が軸にあるサウンドにもバリエーションが生まれた印象だ。

 TVアニメ『君は放課後インソムニア』エンディングテーマに書き下ろした「ラプス」での、世界的な“サッドガール・インディ”に通じる陰影と前向きさ、あらゆる場所でひたむきに生きる人々に送る、バンドのステイトメントを表した「US / アス」の力強さ。他にもくるりの岸田繁がストリングスとピアノのサウンドアレンジで参加した「光の庭と魚の夢」や、ベースの福田穂那美が作曲に加わったエレクトロニックな「Drowse」なども。

Homecomings - ラプス (Official Music Video)
Homecomings - US / アス (Official Music Video)
Homecomings - 光の庭と魚の夢(Official Music Video)
Drowse

 12月には自身最大キャパとなる横浜大さん橋ホールでのワンマンライブも大成功。なお、2024年2月10日、京都KBSホールで開催するライブをもってドラムの石田成美がバンドを卒業する。

阿部真央

阿部真央 アーティスト写真

 すでにオリジナルアルバムを10作リリースしている実力派シンガーソングライターが、IRORI Records内にプライベートレーベルを設立したことも話題に。「KAGAYAKI RECORDS」と銘打った同レーベルからの第1弾は阿部真央のボーカリストとしての進化を刻みつけたR&Bテイストの「I've Got the Power」。ピアノで作曲することが増えた彼女の新たな音楽的な側面をSIRUPらとのワークスでも知られるMori Zentaroのアレンジが際立たせ、SIAのカバーでも聴くことができた感情の緩急をついにオリジナルで作品化することに成功した。

Mao Abe/阿部真央 - I've Got the Power [Official Music Video]

 また、アコースティックセルフカバーアルバムには「貴方の恋人になりたいのです」や「ロンリー」「I wanna see you」など代表曲を収録しており、本作を軸に秋のツアーでもレンジを広げた表現力で新たな一歩を示してみせた。

Mao Abe/阿部真央 - 貴方の恋人になりたいのです [2023 Acoustic Ver.](Official Audio)
Mao Abe/阿部真央 - ロンリー [2023 Acoustic Ver.](Official Audio)
Mao Abe/阿部真央 - I wanna see you [2023 Acoustic Ver.](Official Audio)

SOMETIME’S

SOMETIME’S アーティスト写真

 今年のSOMETIME’Sは、4月スタートのドラマ『全ラ飯』(カンテレ)主題歌「Do what you do ably」でエッジを効かせた初の書き下ろし曲にチャレンジ。その後、現在の彼らを象徴するパイロット曲として7月に「blue」を配信リリース。ソウルフルで温かいボーカル SOTAの声の魅力を最大限に生かしたミディアムバラードだ。作詞もSOTAが手がけ、交わらない二人の運命を英語と日本語がスムーズに同居する内容に落とし込んでいることにも注目したい。

SOMETIME'S - Do what you do ably[Official Music Video]
SOMETIME'S - blue [Official Music Video]

 SOTAの歌声にフォーカスするというテーマの第2弾である「Regret」はギターのTAKKIのペンによる、後悔を胸に秘めてポジティブに捉え直すスタンスが、シンプルに始まり開放的なサウンドへ広がる展開を伴い気持ちにフィットする。

SOMETIME'S - Regret [Official Music Video]

 次なる新曲や展開も楽しみな中、年明けには久しぶりのワンマンライブも開催。

プレイリストで2023年を振り返る

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