Official髭男dism、Kroi、Bialystocks……IRORI Recordsの2022年を総まとめ 意欲的なリリース続々、話題に事欠かなかった1年
今年6月に設立2周年を迎えた<IRORI Records>。今年もOfficial髭男dismがアニメやドラマ主題歌のタイアップで、社会現象を生むほどのクリティカルなヒット曲を創出。世代を超えた音楽ファンを魅了する音楽と映画での表現を自在に行き来するBialystocksもデビューを果たすなど、話題に事欠かなかった1年を所属アーティストの活動から振り返る。
■Official髭男dism
「ミックスナッツ」「Subtitle」…今年もヒット連発!シーン牽引するパワーを証明
まずは強力なタイアップシングルのヒットで、尽きることのない曲作りのクリエイティビティと、音楽シーンを牽引するパワーを証明したOfficial髭男dism。今年は1月に「Anarchy」を配信リリース。ベースラインが印象的で、珍しくタイトなアレンジの同曲は4回目のタッグとなる「コンフィデンスマンJP」シリーズの映画『コンフィデンスマンJP英雄編』主題歌として新鮮な側面を見せた。また、群雄割拠のアニメシーンの中で、“赤の他人同士が家族になる”というレアな設定でありつつ、本質はホームコメディであるアニメ『SPY×FAMILY』に書き下ろした「ミックスナッツ」はオーセンティックなビッグバンドジャズのスタイルを継承しながら、得意の転調や複雑な展開を盛り込み、歌詞の面ではアーニャの好物であるピーナッツは木になる実ではないことから、“疑似家族もミックスナッツのように家族と言えるのではないか?”という示唆が含まれている。この2曲の他に「Choral A」(映画『異動辞令は音楽隊!』主題歌)、「破顔」を収録したCD『ミックスナッツEP』を6月にリリースした。
さらに、久々に日本のドラマ界に新風を送り込んだ川口春奈×目黒蓮(Snow Man)出演ドラマ『silent』(フジテレビ系)主題歌「Subtitle」も2022年を代表するヒット曲の一つに。毎話物語のピークで印象的に切なく響く同曲が多くの視聴者の涙を誘った。ちなみに、Billboard JAPANチャートでは、累計再生回数が1億回を突破。チャートイン6週目での1億回突破はBTSの「Butter」に並び、史上最速の記録となった。また、9月からは全国ホールツアーを開始。結成10周年にふさわしいライブツアーを展開中だ。そして、大晦日には2年ぶり3回目の『NHK紅白歌合戦』への出場も決まっている。
■Kroi
各地フェスに引っ張りだこ!ライブバンドとしての存在感を強めた1年
名実ともにライブバンドとして存在感を強めた今年のKroi。『FUJI ROCK FESTIVAL '22』では初出演ながら2番目に大きなホワイトステージを沸かせたほか、『Local Green Festival’22』『WILD BUNCH FEST.2022』など、さまざまなジャンルのフェスに登場。また、8月にはフリーライブ『TAKE OFF』をZepp Haneda(TOKYO)に於いてセンターステージで行い、会場、配信ともに大きな盛り上がりを見せた。加えて、全18公演に及ぶワンマンツアー『BROADCAST』も各地でソールドアウトが続出。今年リリースした2ndアルバム『telegraph』にはファンク要素を独自のビート感で消化した「Pixie」や彼ら得意のフュージョンをモダナイズした「Drippin’ Desert」、「熱海」などを収録。ユーモアに溢れ、肩肘張らず、しかし音楽的には高いスキルを誇るバンド像が時代にフィットした感も。内田怜央(Vo/Gt)が清 竜人「If I stay out of life…?」にラップでフィーチャーされ、MVでは清や元日向坂46・渡邉美穂と共演するなど、アーティストからの評価がコラボにも結実した。さらに、12月15日放送のドラマ『silent』劇中で「Balmy Life」が使用され、「Kroi」のワードがTwitter世界トレンド5位にランクインするなど様々な場面で話題をさらっている。
■Bialystocks
音楽×映画で切り開く独自の表現 楽曲評価の高さで話題沸騰中
10月に大手町三井ホールで開催した初のワンマンライブをソールドアウトさせ、その潜在的な人気を証明したBialystocks。同日のアンコールで<IRORI Records>からのメジャーデビューを発表した、最も新しいレーベルの仲間である。11月30日にメジャーデビューアルバム『Quicksand』をリリース。ドラマ『先生のおとりよせ』EDテーマとして書き下ろした「差し色」や、ダイナミックな展開を持つ「灯台」など先行配信曲ももちろん収録している。本作のプロモーションのユニークなところはメンバーの甫木元空(Vo)が映画監督でもあり、彼の長編第2作目の映画『はだかのゆめ』の上映会とBialystocksのミニライブを合わせたイベントを各地で行っているところだ。映画と同名の主題歌もアルバムに収録されており、菊池剛(Pf)のフェイバリットであるフランク・シナトラの世界を想起させるようなアレンジだ。前出のホールライブの盛況はジャズ、フォーク、ポップス、ロックなど多彩なジャンルを二人のセンスで消化・昇華している入口の広さゆえだろう。目下、「Upon You」が全国のAM・FM40局以上でパワープレイされており、楽曲評価の高さで2023年の台風の目になる可能性も大だ。