Official髭男dism、Kroi、スカート……IRORI Recordsの2021年を総まとめ オリジナリティの探求や挑戦が結実した1年

IRORI Recordsの2021年を振り返る

 今年6月にレーベル設立1周年を迎えたポニーキャニオン内レーベル<IRORI Records>。あくまでもアーティストファーストで、楽曲のクオリティが存在意義。レーベルの所属アーティストーーOfficial髭男dism、Kroi、スカート、Homecomings、SOMETIME’Sを一望すると腑に落ちる。ジャンルや活動規模は異なりながら、オリジナリティの探求や挑戦を作品に結実させている。彼らの2021年の活動や成果はどんなものだったのか、振り返ってみよう。

■Official髭男dism

『Editorial』&ツアーが軸となった1年 ストリーミング時代の覇者ぶり健在!

Official髭男dism

 まず、Official髭男dismは水面下で進行していたことがわれわれの想像の遥か上を行く内容で”復活“を遂げた1年だった。通算3作目のアルバム『Editorial』のリリースとそのツアーが軸となった2021年。アルバムはリリース初週に約10万枚を売り上げ、Billboard Japanダウンロード・アルバム・チャートでは3週連続首位を記録。また、アニメ『東京リベンジャーズ』OP主題歌としても大きな注目を集めた「Cry Baby」が、群雄割拠のアニメチャートで3週連続首位。さらに、既発曲が優位なストリーミングチャートでは「Pretender」の5億回再生を始め、再生数が3,000万回を超える楽曲16曲の認定再生回数は24.2億(10月初旬時点)と、昨年に続きストリーミング時代の覇者ぶりは継続中。

Official髭男dism – Cry Baby[Official Video]

 また、バンドがロングスパンでの活動を標榜していることは今年明らかになった。『Editorial』収録曲の多くで、メインソングライターである藤原聡の人生の迷いや、バンドに向けられる一方的な視線に対する疑問が独特の筆致で描かれ、その覚悟は驚きと感銘を持って受け止められた。リードトラックである「アポトーシス」ではパッと聴きエレクトロな印象でありつつ、斬新かつ繊細な楽器のアレンジを盛り込み、1曲に多彩な起伏を持たせ、エクスペリメントですらある表現をポップスに落とし込む力技も。

Official髭男dism – アポトーシス[Official Video]

 そして本作を携え、9月からスタートしたアリーナツアーは来年4月まで目下、全国で開催中。近況としてはApple Musicが今年から新設したアフリカ、ロシア、ドイツ、日本、フランスの5つの地域の文化とチャート双方に最も大きな影響を与えたアーティストに贈る「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」で日本最初の受賞者に。制作とライブが相互に影響し合う1年だったことを窺わせる。

■Kroi

奔放な音楽性とキャラクターで新規ファン増殖中!シーンに吹かせた新たな風

Kroi

 「まだ作られていない音楽」と自由奔放なキャラクターで今年ブレイクスルーしたKroi。1月に3rd EP『STRUCTURE DECK』をリリース、6月には1stアルバム『LENS』で<IRORI Records>からメジャーデビュー、さらに11月には4th EP『nerd』をリリースするという怒涛の表現意欲を見せた。

Kroi – Balmy Life [Official Video]

 ファンク、ソウル、R&B、ロック、ジャズ、フュージョンを自在にミックスするさじ加減が絶妙で、ソングライターでボーカルの内田怜央が書く歌詞世界はどこか悪夢的だったり、哲学的な要素も含みつつ、聴感としては快楽的かつ中毒性の高いボーカル表現なせいか、ライブではオーディエンスおのおの好き勝手なノリで楽しんでいることも、バンドシーンに新しい風を吹かせた要因だろう。

Kroi – WATAGUMO [Official Video]

 『LENS』のリリースツアーはすべてソールドアウトし、現在はこれまたどの組み合わせも好敵手だらけの対バンツアー『Dig the Deep』を開催中。相思相愛なそのラインナップはどんぐりず、韻シスト、CHAI、ニガミ17才、マハラージャン、在日ファンクという濃厚さだ。そして新章を告げたEP『nerd』では浮遊感と不穏さを包摂したジャズフュージョン寄りの「WATAGUMO」など、Kroi自身がまだ聴いたことのなかったサウンドやアレンジを消化。突き抜けたキャラも相まって、新規ファンが増殖中だ。

■スカート

PUNPEEとのコラボ「ODDTAXI」で新機軸 書き下ろしやプロデュースなど活発に

スカート

 コロナ禍以降、スランプを公言していたスカート=澤部渡を蘇らせてくれたと言ったらファン目線が強すぎるかもしれないが、PUNPEEとのコラボ「ODDTAXI」の存在は新たなギアが入ったはずだ。

スカートとPUNPEE『ODDTAXI』Official Music Video(TVアニメ「オッドタクシー」オープニングテーマ)

 マルチプレイヤーでソングライターの澤部と、トラックメイカーでラッパーのPUNPEEがお互いにないスキルを補完しつつ、共通する都会への視線――ちぐはぐな人々が往来する街を眺めつつ、〈混ざり合わない目線の先へ/たどり着けるか〉というこのコラボならではの淡い温かみに着地したこの楽曲は2021年を代表するひとつと言えそうだ。

 ライブや初の舞台が延期や中止になる中、自宅から定期的に配信を続けてきた「在宅・月光密造の夜」を続行。また、フィロソフィーのダンスの奥津マリリの配信シングル「花をください」では作詞作曲からプロデュースも担当した。そしてついに新曲「海岸線再訪」が12月1日から先行配信。新しく購入したギターを弾く中で、素直に不安な気持ちを抱えたまま前を向く歌を3分間のポップスに凝縮した同曲をはじめ、12月15日リリースのCDにはParaviオリジナルストーリー『最愛のひと~The other side of 日本沈没~』イメージソング「背を撃つ風」、「大きなサイズの店フォーエル」CMに書き下ろした「この夜に向け」の3曲を収録。嬉しいニュースが続く年末になった。

スカート / 海岸線再訪【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
【フォーエル×Skirt(スカート)】コラボMUSIC VIDEO「この夜に向け」

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