THE ALFEE、不動のロック魂に宿る“最長不倒距離”更新への意志 記念すべき日本武道館公演を観て

THE ALFEE、100回目の日本武道館レポ

 高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井 賢(Vo/Ba)によるロックバンド、THE ALFEE恒例の日本武道館公演の記念すべき100回目となる『THE ALFEE 2023 Winter Genesis of New World Final 風の時代・冬』が12月23日に開催された。

THE ALFEE

 この日は限定グッズ「日本武道館公演100回記念バッジ」が販売され、Twitter上では一時2000人以上が並んでいるという情報もあった。個人的には2023年に日本武道館に来たのは4回目。どれもソールドアウト公演だったが、この日ほど開場前の武道館まわりに人が多くて熱気があふれているライブはなかった。場内に入ると北西、北東の2階最上席までが観客で埋めつくされ、その後ろの立ち見席にもかなりの人が見える。場内にアナウンスが流れ、BGMのGrand Funk Railroadの「アメリカン・バンド」が始まると、それに合わせて客席の手拍子が大きくなっていく。会場は「いよいよ幕が開く」という興奮に包まれていく。

 客電が落ち、星が輝くステージ照明に流れ星が現れ、ステージ中央・下からメンバーが登場、楽器を手渡され定位置に着く。ハードな前奏、特効の爆発音と共に始まったオープニングナンバーは、1983年の初の武道館公演で入場者にMV入りビデオテープが配布されたというエピソードを持つ「ジェネレーション・ダイナマイト」。熱気がさらに上昇する中、ツアータイトルでもあるナンバー「風の時代」へ。手拍子が鳴り響く中、坂崎の「結成50周年目の冬、春よりも夏よりも秋よりもみなさんの熱い声援を期待しています!」のMC。その後、美しい白の照明に切り替わり幻想的なナンバー「AUBE ~新しい夜明け」へ。間髪入れずに、坂崎がギターを持ったままパーカッションをたたく「英雄の詩」、アカペラの3声のコーラスで始まるプログレッシブなナンバー「THE AGES」と続く。

 静かな佇まいでリズムを刻みながらいつにも増して艶やかな声を聴かせる桜井、ダブルネックギターやパーカッションなど楽器を替えて忙しく演奏をこなす坂崎、そしてこの日は一段とギターソロを弾きまくっている印象の高見沢。6曲終わってボルテージが高まった場内を、クールダウンすべくMCタイムに。坂崎が「みなさん座りますか」と誘い、客席とのほっこりするようなやりとりが続く。恒例の客席への「今日THE ALFEEのコンサートが生まれて初めての人」の質問コーナーや、『魔法使いサリー』のオープニングナンバーをバックに「魔法使いマ・サリー」こと桜井が軽快に登場すれば、高見沢はDeep Purpleの「Burn」をバッグにステージ下の客席上手から現れ、ステージ右から左に走りまわる。ツアーグッズ営業促進部長の桜井からの日本武道館グッズ紹介と和やかな時が流れていく。

 坂崎の「演奏会のほうに戻っていきたいと思います」の声で、演奏再開。高見沢と坂崎がMartinのアコースティックギターD45を持ち、「久々にこれいきますか」の声でスタートしたのがCrosby, Stills, Nash & Young「Find the Cost of Freedom」カバー。続く「シュプレヒコールに耳を塞いで」の間奏では、ふたりのアコースティックギターの激しい掛け合いを披露。フォークロアテイストのSEが流れ、2023年リリースのシングルの1曲である「鋼の騎士Q」、高見沢がレスポールに持ち替え、春のツアーで演奏されてきた「GLORIOUS」へ。足元にはスモークがたかれ曲の持つ哀愁を高める。

THE ALFEE

 曲が終わり高見沢以外が一旦ステージから去り、MCに。「圧力がすごい」と、客席の声援OKになった2階席を見上げる。映画『ゴジラ-1.0』を秋ツアーで訪れた弘前や米子で観たエピソードを披露したり、客席に1983年の初武道館に来た人の挙手を促したりしつつ盛り上げる。坂崎、桜井もステージに戻り、ここで日本武道館での公演100回を記念して表彰されるというサプライズが。日本武道館・篠嵜宏之氏、ソーゴー東京・倉茂得光氏がステージ上に上がり、THE ALFEEに100本のバラの花束と記念の盾が贈られ、会場があたたかな拍手で包まれる。篠嵜氏から高見沢に手渡されたバラを坂崎に、「100本は重いな」と言いながらそれをまた桜井に手渡す、さりげないリレーがほほえましい。「1983年の武道館公演で見た景色と全然違う」と感慨深げな3人、そして高見沢が「100回できたのはみんなが僕らの歌を見つけてくれたから、僕らのコンサートを選んでくれたから」と感謝を、そして「デビュー50周年、どこまで行けるのか、最長不倒距離としてこのままやっていこうと思う」と豊富を述べると、盛大な拍手が巻き起こった。

 そして「この曲は車で聴くといろんな世界に連れて行ってくれる気がする」と高見沢が語る、約9分のプログレッシブナンバー「組曲:時の方舟」へ。照明が情熱的な赤に変わり、1990年のアルバム『ARCADIA』からのタイトルナンバーの前奏が流れ、着席していた客席が一斉に立ち上がる。ドラマティックなナンバーで再び熱さが最高潮になった会場に激しい雷の音が鳴り響き、ステージ前方には炎があがってハードなナンバー「Count Down 1999」に。続いて秋のツアーではアンコールラストに演奏された「悲劇受胎」が最新アルバム『THE ALFEE SINGLE CONNECTION & AGR-Metal & Acoustic』に収録されたバージョンで演奏される。本編は、2023年のライブツアーの“総括”的要素の濃いセットリストで幕を閉じた。

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