MCバトルシーンはさらなる規模拡大へ 2023年は新興イベントが台頭、オーバーグラウンド化による課題も

 しかし、規模の拡大には様々な問題がつきものであり、中でも今年はMCバトルに出場するラッパーの固定化が顕著に見られた。商業としてMCバトルイベントを開催し、採算を取るには名のあるラッパーを呼ぶ必要がある。ごく自然な流れだが、これによってどの大会もべスト4まで進めば呂布カルマやMOL53、DOTAMAなど、いわゆる「常連組」が名を連ねている印象だ(この「常連組」が単純に強いということもあるが)。

 この「マンネリ化」を払拭する一助となるか、音と映像を融合させた新感覚のバトルイベント『破天MCBATTLE』や、全国のMCにスポットを当てる『Frontier MC Battle』、若手ラッパー・RunLineが主催を務める『NEO GENESIS』といった独自のコンセプトを持った新興イベントが回を重ねるごとに注目度を増している。

年末年始は『戦極31章』に『KOK』...2024年のMCバトルはどうなる?

 12月26日には『ULTIMATE MC BATTLE』の決勝大会、『FSL VOL.4 YEAR END SPECIAL 2023』、12月30日には上述のZeppツアーのファイナルとなる『戦極MC BATTLE 第31章 北海道祭2023』も開催された。さらに2024年1月8日には、各大会の優勝者が集う大型イベント『KING OF KINGS 2023 GRAND CHAMPION SHIP FINAL』も開催される。この大会の優勝者が決まるまで、MCバトルの2023年は終わらない。

 また、2023年10月よりテレビ朝日およびABEMAにて放送中のMCバトル番組『フリースタイル日本統一』は、2024年も放送が決定している。

 そして2024年もすでに様々なイベントが開催予定だ。本稿の執筆時点で、2024年2月に『渋谷レゲエ祭 vs 真ADRENALINE』、3月には『NEO GENESIS vol.3』や『凱旋MC BATTLE THE GINAT KILLING2』が決定している。

 今後もMCバトルシーンはブラッシュアップを重ね、我々の想像を越える盛り上がりを見せることだろう。その中でHIPHOP現代史にその名を刻むラッパーが生まれることを期待したい。兎にも角にも、拡大を続けるシーンに向けて「ド派手にかまそうぜ」と言葉を送り、本稿を締めることにする。

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