香取慎吾の2023年は自問自答から始まった “完璧で究極のアイドル”の姿見せた一年を総括

 香取慎吾にとって、2023年はある“問い”から始まる一年だった。2022年末より東京・渋谷ヒカリエ ホールAを皮切りに、現在も全国を巡回している個展のタイトルは『WHO AM I』。歌手、俳優、司会者、バラエティタレント、画家、YouTuber……いくつもの顔を持つ香取があらためて自身について「俺って誰なんだ?」と思ったことから浮かんだタイトルだとインタビューで話していたのを思い出す(※1)。

 香取慎吾とは何者か。その問いかけに「完璧で究極のアイドル」と答えたくなる一年だったように思う。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

新しい地図(@atarashiichizu)がシェアした投稿

どの顔をどう見せていくかを完璧にセルフプロデュース

 「完璧で究極のアイドル」とは、YOASOBIが歌う人気アニメ『【推しの子】』のオープニング主題歌「アイドル」の一節だ。業界関係者への取材を重ねて作られているという『【推しの子】』は、華やかでシビアな芸能界がリアルに描かれているのが大きな特徴。アニメと共に原作漫画に目を通した香取が「僕の人生そのものだった」と感想を述べていたのが印象的だった。

 なかでも、「完璧で究極のアイドル」は、作品の象徴とも言える人物・星野アイに向けられた言葉だ。アイの最も印象的なセリフとして有名な「嘘はとびきりの愛なんだよ?」には、プライベートの秘密を厳守し、アイドルとしての自分の魅せ方を徹底的に研究していくプロ意識を感じる。そのスタイルに、自らを“パーフェクトビジネスアイドル”と称する香取が共感するのも納得だ。

 そもそも、いくつもの顔を完璧に使い分けることができていなければ「WHO AM I?」の問いも生まれない。香取の動きは、実に「香取慎吾は何人いるのか」と問い返したくなるほど多面的だ。歌手として披露したソロライブ『Black Rabbit』では、一曲一曲ごとに異なる顔も見せてくれた。その演出も香取自身が手掛けていると思うと、まさに脱帽だ。

 そんなライブ本番前には、個展の設営にも顔を出す。その様子をカメラが追いかければ画家として作品について語る顔も。さらに、会場に駆けつけたファンに向けて“しんごちゃん”の顔を見せて安心させてくれる。そんな香取のセルフプロデュースっぷりが炸裂した一年だったのではないか。その姿を知れば知るほど「完璧なアイドル」と言わずにはいられない。

『推しの子』読んでみたらしんごちんの人生そのものだった!【香取慎吾】

伝説のアイドルグループ“SMAP”という究極のアイデンティティ

 また、2023年に大きな注目を集めたのが、中居正広との6年ぶりの共演だった。バラエティ番組『まつもtoなかい』(フジテレビ系)の初回ゲストとして出演した香取。スタジオに登場してもじっと中居の反応を観察しながらだんまりを決め込み、中居を戸惑わせたかと思うと「中居さん、お久しぶりです」と他人行儀な挨拶をして、さらにかき乱していく様子が笑いを誘った。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

香取慎吾 Shingo Katori(@katorishingo_official)がシェアした投稿

 そんないたずらっぽい言動は、それを受け止めてくれる中居がいればこそできること。そして、6年ぶりの再会かと思った周囲の想像をいい意味で裏切ったのが、中居が休養しているあいだにも毎日連絡を取っていたという事実だった。そして、中居は香取のソロライブにも足を運んでいたとも。

 香取も中居も「連絡なんてしない」と、いつもメンバーと独特な距離感であることを明かしていた。だが、どうしたって彼らが“SMAP”として積み上げてきたものは残り続けているということ。そして、歩みを香取自身が変わらずに大切にしていることが、一枚の絵からも窺い知ることができた。

 それが、『週刊文春WOMAN』(vol.19/23年秋号)の表紙を飾った「推し活」をテーマに描かれた作品。推しとファンを結ぶ大切な要素として、香取はメンバーカラーに注目したと語る。そしてキャンバスには、SMAPのメンバーカラー(青=中居正広、赤=木村拓哉、ピンク=稲垣吾郎、黄=草彅剛、緑=香取慎吾、白=森且行)が鮮やかに彩った。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

新しい地図(@atarashiichizu)がシェアした投稿

 新しい地図を広げて5年。ソロアーティストとしてはもちろん、稲垣や草彅との活動も充実した日々を過ごしているが、それでも多くの人が“SMAPの香取慎吾”としての思い出を大事に抱いている。そのことを思うと、他ならぬ彼自身がそのアイデンティティの誇りを持ち続けていることに安心を覚えずにはいられなかった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる