WurtS、ファンの“声”と共に作った全国ツアーファイナル 自信と力強さ漲るZepp Haneda公演
そう言ってアコギに持ち替え、Oasis直系のイントロを鳴らすWurtSを、暖色の光が包み込むというノスタルジックな景色が広がった。〈巻き戻れ、あの日分かった/時計の針で〉といった歌詞によって、力強く昔を振り返ろうとする思いが充満していった。
WurtSがハンドマイクを手にして縦横無尽にステージ上を動き、キレの良いラップ調のボーカルを繰り出した「BOY MEETS GIRL」、〈歓声は〉というオーディエンスの大合唱が轟いた「SPACESHIP」、問答無用の盛り上げりを見せた「Talking Box (Dirty Pop Remix) 」、[Alexandros]とのコラボ曲「VANILLA SKY」のセルフカバーなど人気曲を続け、後半戦も右肩上がりに盛り上がった。
WurtSが「ファイナル、めちゃくちゃ楽しいです! 次で最後の曲です。心を込めて歌います」と言って、「MOONRAKER」へ。壁に星空が映し出され、〈321で世界が終わっても/1000年先で僕ら出逢えれば〉というラインのロマンチックな気分を高めていく。「ありがとうございました! 配信のみんなもありがとう!」と嬉しそうに言って去っていったWutSに対し、「WurtS最高!」という声援が飛んだ。
オーディエンスが「分かってないよ」を大合唱し、アンコールを求める。この曲がTikTokを起点に流行し始めたのが約3年前。そこから多くの流行り廃りが生まれたわけだが、この光景を見ると「分かってないよ」はもはや確固たるアンセムとして存在しているように思える。
アンコールではウサギによるグッズ紹介を挟みながら、「寝相」「地底人」「コズミック」を演奏。改めて全曲が抜群にキャッチーで高性能であることに驚く。音楽活動を始めて3年強、WurtSの名曲量産ぶりは全く衰えていない。
WurtSが「ファイナルもっと行けるか!? もう次何を演奏するか分かってるよね?」と言って、最後は「分かってないよ」。〈きっと何もかも変わらないよ〉〈何もかも変わらないままの現実は〉というラインがWurtSの楽曲の普遍性について歌っているように聴こえてくる。〈分かってないよ〉という大合唱が巻き起こるが、WurtSはさらなる盛り上がりを求める。「みんな声出てるけど、セミファイナルぐらいの声。(ファイナルなら)もっと行けるよね?」と言うと、オーディエンスが一層大きな声で歌う。合唱に対するWurtSの採点は50点から80点に上がり、ついに100点に。しかし「ファイナルは1000万点行きたいよね? みんなできるって信じてます!」とアジテート。照明が明るくなる中、オーディエンスは腕を突き上げてジャンプをしながらありったけの声で大合唱。会場が揺れ、WurtSも声を嗄らさんばかりに熱唱した。
ネットから生まれたアーティストだけに、「最初は自分の楽曲がどう聴き手に届いているかわからないままだった」と話していたWurtSはもはやいない。聴き手がいかにWurtSの音楽を楽しみ、ライブに来ることが日々の糧になっているかということをはっきりと実感しているWurtSの姿がそこにはあった。
WurtS、ライブを重ねて解き放たれたダイナミックな姿 シンプルなセットで無敵感を漂わせた『LIVEHOUSE TOUR Ⅰ』
昨年11月に行われたWurtS初のワンマンツアーは、ステージ中央に巨大な卵が鎮座し、その卵が孵化するためには「ライブを全力で楽し…
連載『lit!』第62回:back number、[Alexandros]、blur……今年の夏のライブシーンを沸かすロック新作
週替わり形式で様々なジャンルの作品をレコメンドしていく連載「lit!」。本記事では、7月以降にリリースされた国内外の2023年夏…