全員士業、BOOKOFF従業員、様々なお寺出身の僧侶……意外な職業のメンバーによるバンド

 みなさんはバンドマンと言われるとどのような人達を想像するだろうか? 学生バンドやサラリーマンバンド、ヴィジュアル系バンドなど様々な年齢や性別の人々を思い浮かべるだろう。今回は一見バンドと結びつかないような意外な仕事をしながら音楽活動をする3組を紹介したい。普段、真面目に仕事に取り組む人々がギターやベースを掻き鳴らす、面白いギャップを感じながら読んでほしい。

 一つ目はメンバー全員が士業を営む“士業バンド”G-BENSだ。士業と聞くと専門的な資格が必要なことから、堅いイメージがあり、アウトサイダーなロックと意外な組み合わせに感じる。そんな彼らは、メンバー全員が岐阜県内で士業を営んでおり、弁護士、行政書士、社会保険労務士など様々なエキスパートが集まる、凄腕集団だ。2019年に結成され、アッキー(Gt)、きょうちゃん(Ba)、JUN(Vo/Gt)、ゲンキ(Dr)、トッシー(Key)の5人編成。士業のイメージとは打って変わり、高いJUNの声が、少年時代の学校帰りの空を思い出すような純粋なサウンドになっている。またギターの音がキラキラと懐かしい綺麗な思い出を彷彿とさせる。全体的に懐かしく爽やかな記憶を気持ちよく思い起こさせてくれる音楽だ。まさに心を元気にさせてくれるポップなサウンドである。JUNの前身バンド・Rabbit Riderの曲を演奏しており、その一つである「空色」は曇った心を一気に快晴にしてくれるような気持ちよさがある、私のオススメの一曲だ。

「空色」Rabbit Rider covered by G-BENS

 HPには「勇気を出して一歩前へと進めば、人生は楽しいことがたくさんある。仕事は仕事として真剣に取り組む僕たちが音楽を続けるからこそ、伝えられるメッセージだと思う」とあり、忙しい士業とバンドの両立について彼らのモットーが窺える(※1)。年内はライブ活動を休止しているが、来年からの活動が楽しみだ。

 二つ目は 古本屋チェーンの“BOOKOFFバンド”裸体だ。「楽器などの買取・販売をするハードオフではなく、本の買取・販売のBOOKOFFでバンド?」と不思議に思う方もいるかもしれない。実は、BOOKOFFはクリエイティブな活動をする従業員を支援する「ブックリエイター(ブックオフ×クリエイターの造語)スタートプロジェクト」を2022年7月から始めているのである。裸体はその第一弾で、ペーター(Vo/Gt)がBOOKOFFで勤務しており、るんるん(Dr/Cho)、溝渕翔平(Gt/Cho)、ハツカワカズヤ(Ba)の4人の社会人で構成されている。『コヤブソニック』や『FUJIROCK FESTIVAL』など音楽フェスへの出演経験も持つ。ギター、ドラム、ベースが鳴り合うロックなサウンドで、ボーカルの声はストレートに楽曲に乗っている。YouTubeにライブ映像が公開されている「あの頃の僕には」では間奏のギターソロが会場を盛り上げる。終盤のギターソロやドラムソロは画面越しに「カッコイイ」と叫びたくなるような、気持ちを沸き立たせる音楽だ。1stフルアルバム『裸体』は2022年にBOOKOFFのオンラインと店舗で限定販売され、現在も絶賛販売中である。12月には、大阪と東京でワンマンライブ『裸一貫』を行う予定だ。

裸体 - あの頃の僕には [YouTube Music Sessions at FUJI ROCK FESTIVAL’18 "ROOKIE A GO-GO"]

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