FLYING KIDS、骨身に染み込むグルーヴで鳴らす“ヒカリ”とは? 芸術や哲学を日常に落とし込んでいく浜崎貴司の眼差し
この曲のMVは、若き日の浜崎かと思わせる出で立ちで歌う伊島空を中心に進む青春ムービーとでも言おうか。駆け出しのお笑い芸人や若きクリエイター、小さなラーメン屋を切り盛りする女性と、夢を追う若者が登場する。彼らはそれぞれの〈ヒカリ〉を探し、それに向かって生きている。歌詞について私は少々シリアスな解釈をしてしまったが、このMVは手強く思える哲学を日常に落とし込もうとする浜崎の姿勢を伝えてくる。冒頭に出てくるアーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリックが映画化した『2001年宇宙の旅』のDVDと、ゴーギャンをモデルにしたサマセット・モームの『月と六ペンス』の文庫本は〈ヒカリ〉を象徴するものに思えると同時に青春の象徴にも見える。壮大な宇宙史をも取り込み人間の存在を問いかけた映画と、自分が描きたいものと真摯に向き合い生きた男の物語。若い頃に触れたら感化されずにいられない作品だ。浜崎もそうだったのだろうか。
「REFLEX ACTION」は3分半ほどの、ファンクチューンにしては短いけれど情報量の多い曲だが、聴いたら体を揺らさずにいられないグルーヴィなナンバーだ。ライブではさらに厚みのある演奏で引き込んでくれるに違いない。35年前のバンドブーム時代にもFLYING KIDSのようなバンドはいなかったが、今もまだ彼らのようなバンドはいない。ソウルミュージックにR&B、ロックやパンク、ファンクにヒップホップも飲み込んで進化し続ける9人組は、音源もさることながらライブも別格だ。むしろ彼らの持ち味はライブでこそ発揮されると言ってもいい。10月27日にはビルボードライブ東京での1日2回公演が予定されている。これは伏島和雄(Ba/Cho)の還暦を祝すスペシャルなライブ。5月から『FunKでしか言えない本当のことがある』と題したマンスリーツアーを続けてきた彼らが、新曲「REFLEX ACTION」を携えてどれほど弾けたライブを見せてくれるか期待したい。
■リリース情報
配信シングル「REFLEX ACTION」
2023年10月4日(水)リリース
https://jvcmusic.lnk.to/ReflexAction
■ライブ情報
『FunKでしか言えない本当のことがある」~第2回チキチキ還暦だヨ!全員集合!~』
・会場:ビルボードライブ東京
・日時:2023年10月27日(金)
※1日2回公演
1stステージ:開場17:00 開演18:00
2ndステージ:開場20:00 開演21:00