aiko、オーディエンスへの愛と親密さに満ちた『Love Like Pop vol.23』 最終日への名残惜しさ全開で30曲熱唱

aiko『Love Like Pop vol.23』レポ

 15枚目のアルバム『今の二人をお互いが見てる』を3月にリリースし、5月から始まったaikoのホールツアー『Love Like Pop vol.23』。全国19カ所30公演に及ぶ本ツアーのファイナル、9月28日NHKホール公演2日目の模様をレポートする。

 場内が暗転し、aikoを呼ぶ声が一斉に上がり、華やかなホーンの音が奏でられ、チアフルなイントロへ。aikoが元気よくステージ前方ギリギリまで駆け寄り、お立ち台に上がる。ニューアルバムと同じく、「荒れた唇は恋を失くす」からライブはスタートした。

 続けて聴こえてきたメロウなグルーヴは、「果てしない二人」だ。〈あなたにプレゼントがあるの〉という歌い出しから二人だけの時間が宿る。そして、その永遠は曲名通り果てしない。この曲の永遠性は『今の二人をお互いが見てる』というアルバムを象徴するものでもある。そんな重要な楽曲を歌うaikoの歌はとても軽やかだが地に足がついていた。

 序盤のMCで「記憶にも記録にも残る最終日を一緒に作りましょう!」と言った後、「最終日、嫌だー!」と叫んで、駄々をこねるようにステージに突っ伏したaiko。とにかくこのツアーを終えたくない、オーディエンスと離れたくないという気持ちが充満していた。

 初めてaikoのライブに参加したというオーディエンスとの会話が始まった。驚くほど自然にオーディエンスとコミュニケーションを取るのがaikoのライブだ。「絶対ひとりぼっちにさせないからね!」と宣言し、3階席の一番後ろまで「心は隣に座ってるから」と言い、「怖いから」と自分に突っ込みつつも、ステージの端から端まで移動して、体全身を使って後方にも自身の存在をアピールする。この一人ひとりと真摯に向き合う姿勢によって、よりaikoの楽曲は親密さを増す。

 

 「マント」「アンドロメダ」「ポニーテール」と続け、「3曲とも好きな曲だけどキーが高い。デビューして25年。自信がない時は歌えなかった。今こうやって25年経って楽しく歌えてるのはみんなのおかげ」とオーディエンスに感謝を伝える。その次に披露した「気付かれないように」を歌う前も、「この曲を作った時は振られてズタズタだった。その時の悲しかった気持ちがなくなるくらいみんなが埋めてくれた。一対一で聴いて」と語りかける。喜怒哀楽を込めた楽曲をオーディエンスが受け取り、自らの喜怒哀楽に重ね、ライブでaikoに気持ちを返すことでaikoの気持ちも浄化されていく。そんな循環が25年間続いてきたのだ。

 一転、ウキウキとした曲調の「アップルパイ」の途中で、バンドメンバーの紹介が入る。最後はもちろんaikoだ。銀テープが飛び、シャープな鍵盤の旋律が流れ、「あたしの向こう」へ。「ありがとう!」と叫ぶaiko。本編ラストは甘酸っぱさが爆発する「ハナガサイタ」だった。

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