ゴールデンボンバー、久々の4人体制ツアーファイナル さまざまなネタを詰め込んだ『振り返ればケツがいる』が迎えた大団円

ゴールデンボンバー、4人体制ツアーファイナル

 8月6日、東京ガーデンシアターで『ゴールデンボンバー全国ツアー2023「振り返ればケツがいる」』ツアーファイナル公演が開催された。久々の4人体制、そして観客の声出しOKのツアーということもあり、ファンとバンド共に格別の想いがあったツアーの集大成の模様をレポートする。

 開演前のアナウンスは喜矢武豊(Gt)が担当。開演前から異常なテンションでライブ中の注意事項やマナーをまくしたてると、場内の方々から笑い声が上がる。こういった「あたりまえ」の光景もずいぶんと見ていなかったように感じる。

 ゴールデンボンバーのワンマンツアー本編は、メンバー出演のドラマ仕立ての映像から始まるのが恒例となっている。今回の主人公は、ツアータイトルの通り樽美酒研二(Dr)、そしてテーマもツアータイトルの通り「ケツ」の話である。

 エアーバンドである彼らは、ライブ中に身体を張った面白パフォーマンスをすることが武器である。だがある日、樽美酒は自由にオナラを出せなくなってしまう。リーダーである鬼龍院翔(Vo)の命令により、無理にオナラを出そうとした結果、「出してはいけないモノ」まで出てしまい、メンバー全員から総スカンをくらってしまう。スランプに陥った樽美酒は解決策を探るため山奥に住むオナラの達人を訪ね、「ケツの呼吸」を習得すべく修行に励むのだが、突如師匠が不慮の事故で絶命してしまう。「オナラに必要なものは、思いやる心だ」という言葉を遺して……。師匠の言葉の真意は? その答えが見つからないまま、樽美酒は山を後にし、ライブ本番を迎えるのであった。

 ライブ本編は今回のツアーのテーマソング「俺たちにはケツがある」でスタート。力強いロックチューンに合わせてドラムセットの上に仁王立ちし、拳を高く掲げる樽美酒の姿にもツアーファイナルへの気合いが感じられる。「ツアーファイナルへようこそ!」と鬼龍院。

ゴールデンボンバー ライブ写真
歌広場淳(Ba)

 歌広場淳(Ba)の「ファイナル! 飛ばして行くぞ!」の声とともに始まった「ワンマン不安」、ゴールデンボンバーのワンマンといえばやはりこの曲である。スクリーンいっぱいに広がる「頑張れ」の文字と共に観客の声にも熱がこもる。

 MCタイムでは、観客の声出しOKになったとて相変わらず「キスミー」で会場を無音にする鬼龍院。「今日のやることはひとつ! 一生懸命頑張ります! 思いっきり行く!」とまっすぐに宣言する歌広場。

 ゴールデンボンバーのライブでは「抱きしめてシュヴァルツ」に入る前にそれぞれが近況を語り、それにちなんだネタを披露することが“お約束”になっている。俳優としても活動する喜矢武は自身が出演している任侠シリーズ『日本統一』の話から「入れ墨を彫った」と語る。一方の樽美酒は「女性の下着を手に入れたい」と自身の願望を告白する。

ゴールデンボンバー ライブ写真
喜矢武豊(Ba)

 楽曲が始まり、ソロタイムになると喜矢武がおもむろに脱ぎだしたかと思えば、その背中には、過去にも何度か話題に上がっており、今や一部ファンにはおなじみの存在と呼べる喜矢武の元カノ・ゆかりさんの写真が。なお、筆者の座席近くでは「ゆかりー!」というメンバーコールならぬ元カノコールも起こっていた。SNS上では「ミュージシャンと交際すると曲にされる」とまことしやかに囁かれているが、背中に彫られた元カノは彼女くらいでは(本当に心が広い方だと思う)。

 樽美酒は毎年出演している『SASUKE』(TBS系)を模した障害物を身体能力を駆使してゴールにある下着をゲットし、変態仮面のコスプレで終わるパフォーマンスで驚きと笑いを誘う。「下着泥棒は犯罪であり、ここはステージの上である(つまりフィクションである)」と必死にフォローを繰り返す鬼龍院が印象的であった。

 2月に発売されたアルバム『COMPACT DISC』に収録されている「Yeah!めっちゃストレス」ではケルト音楽をバックに全員がマイクを持ってステージ狭しと軽やかにステップを踏むかと思えば、90年代ヴィジュアル系を彷彿させる「おさかな地獄」のギターソロでは、曲が始まる前に「ジブリに出たい」と言っていた喜矢武がダンボール製のロボット兵に扮して登場。鬼龍院やカメラマンには花を渡すも、歌広場には暴力を振るうという理不尽な一幕も。「なんで? 初日より痛くなってる!」と叫ぶ歌広場であった。SNS上で注目を集めた楽曲たちもすっかりライブの定番曲として浸透したと実感する盛り上がりだ。

 真冬に開催された企画動画「脱いだら負けよ! ブリーフ雪合戦」映像をはさみ、メンバー全員が出演する演劇へ。今回は普通に喋るとデスボイスになってしまう高校生・鬼龍院と、DIR EN GREYとマキシマム ザ ホルモンが好きなクラスメイト・喜矢武の学園ラブコメである。なお、これまでのツアーでは演劇上のセリフはすべてあらかじめ録音されており、口パクで演技をするスタイルだったが、今回はクライマックスのみ生声で演技するという新たな試みも行われた。「真面目にやるとお客さんに生声だと気づかれないから」と、鬼龍院は毎回喜矢武の近況にちなんだアドリブセリフを入れていたとのことで、ツアーの間は喜矢武に関する話題集めに苦労したと語っていた。

ゴールデンボンバー ライブ写真

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