Kenta Dedachi、音楽ルーツを辿った初のカバーライブ アーティストとして目指す場所を再確認するステージに

Kenta Dedachi、初のカバーライブレポ

「最近、僕はラジオとかで“Raw”って言葉を使っているんだけど。“Raw”っていうのは、生の感情を隠さずそのまま出すような意味で。ここからはそんな“Raw”な曲をやっていこうと思います」

 そう告げると、まずはジャスティン・ビーバーの「Hold On」を披露。この曲が世に出てから、他のアーティストも“Raw”な楽曲を発表するようになったと感じているという。力強いサウンドを響かせた後は、オリヴィア・ロドリゴの「Drivers License」、コナン・グレイの「Yours」を2曲続けて届けた。どちらも切ないラブソングで、感情を込めてドラマチックに歌い上げる姿が印象的だった。

 「みんなこの曲は知っているよね? 一緒に楽しんじゃいましょう!」と始まったのは、ファレル・ウィリアムスの「Happy」。軽快な演奏に観客のクラップが彩りを添え、曲名通りハッピーな雰囲気に満たされた。

 「みんなクラップ最高!」と嬉しそうに語ったKenta。いよいよ次でラストということで、選んだ楽曲はベン・プラットの「Grow As We Go」だ。彼が思うカバーの良いところは、曲の良さがわかることだという。アーティストが考えていることが深く理解できる上に、自身の制作に繋がる気づきを得られることもあるそうだ。さらに、カバーをすることで「自分ももっと頑張ろう」という気持ちになれるという。

 「Grow As We Go」は、「僕と一緒に成長していこう」というメッセージが込められたラブソングだ。この曲をラストに持ってきたのには、今日来てくれた人への感謝や、「今後も成長していきたい」という自身の想いが込められているのだろう。客席を真っ直ぐに見ながら、目の前の一人ひとりに寄り添うような演奏を届け、会場はあたたかい雰囲気に包まれていた。

 今回のライブでは、彼が好きなアーティストや、自身の音楽ルーツとする楽曲が多く含まれていたのが印象的だった。カバー曲のみの構成ながらも、Kenta Dedachiとはどんなアーティストなのか、どんなことを大切にしているのかがわかる、ファンとの距離を縮めるようなライブだったように思う。9月からは初の全国ツアーも決まっているが、彼はそれ以外にもたくさんライブをやっていきたいと語っていた。いつか、尊敬するエド・シーランのように、Kentaの楽曲も多くの人がカバーする日がやってきたら面白い。それは決して夢物語ではないはず。Kenta Dedachiのミュージックジャーニーは、きっとここから本格的に始まっていくのだろうから。

※1:https://youtu.be/QUDtV1VVCkY

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