『NARUTO THE LIVE』に向けて徹底予習! (2)いきものがかり、Anlyら『疾風伝』を盛り上げた楽曲たち
2002年10月からスタートしたアニメ『NARUTO-ナルト-』が放送開始から20周年を迎えた。続編となる『NARUTO-ナルト- 疾風伝』、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』と連なる後続シリーズも含めて、世界中で愛され続ける『NARUTO』シリーズ。キャラクターや物語の豊かさもさることながら、作品を彩ってきた主題歌たちとのマッチングもその魅力の一端だろう。そんな、『NARUTO』の世界を彩ってきた合計7組ものアーティストが一堂に会するスペシャルなイベント『NARUTO THE LIVE』が9月2日・3日の2日間にわたり幕張メッセイベントホールで開催される。その出演者のなかから、本コラムではアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』でオープニングおよびエンディングテーマを担当した2組のアーティストの楽曲がどんなふうに作品を盛り上げてきたのかをピックアップしたい。
2007年2月からスタートした『NARUTO-ナルト- 疾風伝』は、2年半の修行を経て青年へと成長した主人公・うずまきナルトが帰還するところから物語が始まる。原作にはないオリジナルエピソードもまじえながら進行するストーリーは前作に比べ格段にシリアスさを増し、強大な敵や困難を前にナルトたちが苦悩する様も描かれていく。そんな中で物語のひとつの軸となっていくのが、ナルトと彼の親友でありライバルでもあるうちはサスケの関係性だ。一族を皆殺しにした兄・イタチへの憎悪から力を欲し、前作『NARUTO-ナルト-』の終盤に自らの意思で故郷を捨て出ていったサスケはその後さまざまな形でナルトの行く手に現れ、ときに対立し、ときに共闘することとなる。このナルトとサスケの間にある複雑な感情の揺れ動きが、『NARUTO-ナルト- 疾風伝』の通奏低音となり、ドラマを盛り上げていく。
そんな『NARUTO-ナルト- 疾風伝』の3番目のオープニングテーマとして2008年4月3日放送の274話「悪夢」から起用されたのが、いきものがかり「ブルーバード」だ。その直前まで展開していた「遥かなる再会の章」でナルトはサスケと対峙するが、復讐に燃える彼の心を覆すことはできなかった。それほどまでに固いサスケの決意を、この「ブルーバード」はまっすぐに描き出している。〈飛翔(はばた)いたら 戻らないと言って〉と始まるこの曲は、引き締まったアレンジと鋭く尖ったギターサウンドが生み出す緊張感のもと、後ろを振り返ることなく飛び立っていく彼の姿を「ブルーバード」=青い鳥になぞらえながら力強く活写する。タイトルバックの映像も決して交わることのないふたりの向かう方向を象徴的に表現したものになっていて、改めて物語の根幹を提示するようだ。一方でただシリアスなだけでなく、美しいストリングスのアレンジや吉岡聖恵の歌声には強い意思の裏側にある優しさや切なさのようなものも宿る。サスケの心情だけでなく、それを追いかけるナルトやサクラの心もまた、この曲には写し込まれているのだ。それがこの曲をより深みのあるものにしている。
実際、この「ブルーバード」は『NARUTO』の全テーマソングの中でも常に高い人気を誇る楽曲で、『NARUTO』といえばこの曲を想起する人も多いだろう。そして同時に、いきものがかりにとってもこの曲は当時最大のヒット曲となり、ライブでは現在に至るまで定番曲であり続けている。それだけ楽曲のテーマやいきものがかりのムードとアニメのストーリーがいい相乗効果を生んでいたということだろう。