日向坂46、数々の名場面を生んできた『TOKYO IDOL FESTIVAL』の歴史 フェスならではのセットリストで伝えるグループの魅力

 日向坂46が8月4~6日に東京・お台場の青海周辺エリアにて開催される『TOKYO IDOL FESTIVAL 2023』(以下、TIF)に出演する。2019年以来、毎年出演を果たしている日向坂46だが、今年は8月6日のHOT STAGEでトリ(グランドフィナーレに出演の僕が見たかった青空 除く)を務めることが発表されている。

 国内で初となる“アイドルに特化した大規模同時多発的音楽フェス”として、2010年に東京・品川でスタートした同フェス。2011年からは現在まで開催されているお台場へと場所を移し、毎年恒例のアイドルファンが集結するイベントとして盛り上がりを見せてきた。2020年以降のコロナ禍においても、開催時期をずらしたり、オンライン配信を行ったりと、試行錯誤しつつもその年のアイドルカルチャーを反映してきた。今や『TIF』はアイドルの登竜門としての位置づけにもなっており、これを機にブレイクしていくアイドルも少なくない。それは日向坂46にとっても同様だ。けやき坂46時代から数えると、今年で7度目の出演となっており、日向坂46にとって馴染み深いイベントと言える。夏=『TIF』というイメージもおひさま(=日向坂46ファン)の間でも浸透してきているように思う。

 日向坂46のメンバーが初めて『TIF』のステージに立ったのが2017年。当時はグループ名も「けやき坂46(ひらがなけやき)」として、欅坂46との合同ステージという形で入れ替わりで出演。当時はまだ欅坂46の妹分的な立ち位置だったこともあり、欅坂46の名前を借りてのステージだったが、2017年は『ひらがな全国ツアー2017』を開催するなど、グループとして自立しようとしていた時期だった。この年、ファンの間で語り草となったのが佐々木久美の“TIF激怒事件”だ。これまでメンバーに対して怒ることがなかった佐々木久美が、パフォーマンスのミスに反省の色を見せないメンバーに対して感情をあらわにした。この映像はドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』で詳細に映し出されており、メンバーの意識が変わるきっかけとなった。初の対外試合となった『TIF』への出演は、けやき坂46にとってどれだけ印象に残るパフォーマンスを見せられるか、という思いも佐々木久美のなかにはあっただろう。しかし、結果としてこの事件はけやき46のグループとしての団結力が生まれるきっかけとなった。

 けやき坂46単独での出演となった2018年。出演前の大きなトピックとしては二期生の加入があり、初の日本武道館公演を成功させるなど、けやき坂46が広く知れ渡ったタイミングだ。こうした実績を積み重ねた上でHOT STAGE単独出演はグループを広めるまさに絶好の機会だった。2017年との大きな変化と言えるのが、一期生曲「おいで夏の境界線」と二期生曲「半分の記憶」といった期別曲がセットリストに組み込まれたことだ。それはつまりグループの層が厚くなったことを意味している。この年の最後の曲として披露された「NO WAR in the future」はこれ以降毎年のように披露されており、フェスならではのファンの掛け声も見どころとなっていた。

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