コロナ禍でクラブシーンはどう変化した? 音楽ジャンル、客層……当事者の視点からDJ Kotsuが語る

コロナ禍でクラブシーンはどう変化した?

戻ってきた動員数と変化した人の流れ

――マスクを着用する人も減った今、クラブの状況はどうなっていますか?

Kotsu:海外アーティストも来日するようになったし、動員数が戻ってきたと思います。家庭や仕事に影響しないようにとコロナ禍で出演を控えていたDJに代わって20代の若手の出演が増えたり、HIPHOPやバンドのシーンがダンスミュージックと混ざるようになってきたりという変化もあって、若いお客さんが増えた印象もありますね。DJバーにはVISION やContactに出演していたDJたちの出演が増えて、お客さんもたくさん入っています。

――コロナ以前にクラブで遊んでいた人とは客層が入れ替わったのでしょうか?

Kotsu:入れ替わったといっていいと思います。特にファッションやアートに関心のある学生が渋谷の翠月 -MITSUKI-というDJバーへ遊びに来るようになって、40~50代のDJたちの渋いダンスミュージックに触れ、スタイルを継承するといった流れがコロナ以降に加速しています。ほかにもオンラインで作曲やDJを始めた人がパーティーを始めるなど、20代の間には大小さまざまな新しい潮流が生まれました。

――クラブシーンに入ってきた20代が場所やシーンに付帯したんですね。

Kotsu:コロナ禍で学校に行くこともなく、集まって居酒屋へ飲みに行くこともなかなかできなかった。そのなかで場所を非公開にして行うシークレットパーティーはオフラインで遊べる数少ない場所でもありました。SNSなどを駆使してそんな場所を発見した若い人が遊びに来たという側面もあると思います。

――CYKのパーティーにも、クラブに慣れていない人を連れて行けるような遊びやすさがあると思います。

Kotsu:普段は交わらなさそうな人たちをブッキングすることで、そこに付帯するお客さん同士も限定されたコミュニティにならずに遊べるようにしています。より基本的な部分としては、ステートメントを掲げていることもプラスに働いているのかなと。

――こういった取り組みは、すべてのクラブで当たり前にやってほしいです。トラブルがあったときにスタッフを頼っていいと知っているだけで安心感がまったく違って、それによってクラブデビューや復帰のハードルも下がる気がします。

Kotsu:クラブ側でスムーズにオペレーションできるなら、そのほうが望ましいなと思います。クラブに行きづらいと感じる人たちの声が世に出ることも大事で、クラブでは話す機会もあるし、SNSで投稿している人もいるけど、叩き台を作っていかないと一向に話は進んでいかないんじゃないかと。個人の声はどうしても忘れ去られやすいので。

――遊びやすさという点では、CYKとして『FUJI ROCK FESTIVAL』や『Rainbow Disco Club』などフェスへの出演もあるなか、「感染リスクを考えるとクラブには行きづらいけど、野外フェスなら行きやすい」と感じる人もの増加も感じるのではないでしょうか。

Kotsu:めちゃめちゃ増えていますね。5月に『森、道、市場 2023』という愛知県の都市型フェスにCYKとして出演したときには、タイムテーブルの最後の時間帯だったのに普段はクラブに行かなさそうな人もたくさん踊ってくれて、それが希望に思えました。今までのフェスでは「このお客さんたちがクラブに来てくれたらいいのに」と思っていたけど、最近はクラブには行かないけど僕らの出演する野外イベントには頻繁に来るという人がいてもいいのかな、クラブに限定された表現をしてるわけじゃないし、僕らが生息範囲を広げるのも1つの手なのかな、と思うようになりました。

――フェスで踊る楽しさを発見してもらうことは、最終的にクラブに行く人が増えることにも繋がるのでは?

Kotsu:そうですね。フェスからクラブに向かうブリッジとして、メディアがあってもいいなと思います。

――KotsuさんのZINE『Crossbreed』もクラブに行く人と行かない人、都心にいる人と地方にいる人などのブリッジになっていると思います。

Kotsu:個人的には『Resident Advisor』というメディアの日本版がなくなったことで、いよいよクラブで起こったことを記録する媒体がなくなってきたという危機感があってZINEを作ったところもあります。もっと単純に、みんながどういう気持ちでクラブに行っているのかという声が集積されていく場所も欲しいです。

『CYK SUMMER SESSION』
『CYK SUMMER SESSION』

■公演情報
『CYK SUMMER SESSION』
2023年8月6日(日)15:00~22:00
会場:神奈川・江ノ島OPPA-LA
料金:¥2,500(税込)
出演:CYK

『dogma』
2023年7月29日(土)
会場:静岡・dazzbar
DJ:Kotsu ほか

『ONE PARK FESTIVAL 2023』
2023年8月5日(土)、6日(日)
※CYKの出演は5日(土)
会場:福井・福井市中央公園
チケット(6月1日発売分):2日通し券 ¥15,000(税込)、2日通し券グループ割(4人分) ¥15,000(税込)、単日券 ¥9,900(税込)、中高生単日券 ¥4,400(税込)、地元販売チケット2日通し券 ¥14,300(税込)、地元販売チケット単日券 ¥8,800(税込)、地元販売チケット中高生単日券 ¥3,300(税込)
当日チケット:単日券 ¥11,000(税込)、中高生単日券 ¥5,500(税込)
<5日出演アーティスト>
CYK、角舘健悟(Yogee New Waves)、木村カエラ、奇妙礼太郎、Kroi、マカロニえんぴつ、NAGAN SERVER and DANCWMBLE、OKAMOTO’S、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、UA、ウルフルズ
<6日出演アーティスト>
Felix B(Basement Jaxx)、Guiba(FRIENDSSHIP. Joint Audition枠)、indigo la Ennd、Licaxx、Maurice Fulton、長塚 健斗&井上 幹 Acoustic Set(WONK)、NIKO NIKO TAN TAN、Original Love Jazz Trio、Penthouse、くり、RHYMESTAR feat. Rei、ONE PARK Special Band

『tiempo』(Kotsu)
2023年8月9日(水)OPEN 21:00
会場:福岡・Kieth Flack
チケット:¥2,500 (税込、1drink order)
GUEST DJ:Garret David (Global Swing/Chicago)、Hush Hush (Chicago)、Kotsu (CYK)
DJ (AtoZ):fumiya (tiempo)、KTA (PREDATOR.BLUE MODE)、jass&shuku (tiempo)、naoki (歓迎)、MASUO (Desiderata)、Tatsuoki (Broad)、YUKUhiko (from Osaka)

『Sweetie vol.11』
2023年8月9日(水)OPEN 20:00
会場:香川・TOONICE RECORD SHOP&FREE SPACE
料金:ADV ¥2,000(税込)/ DOOR TBA(+1DRINK ORDER)
Guest DJ:Kotsu(CYK/UNTITLED)
DJ:U-TA、akkyan、kotetsu、summer-ko、ADA

2023年8月12日(日)
会場:兵庫・楽園/DIGGIN'STORE1987
DJ:Kotsu ほか

『Kotsu Graphic Exhibition “Residue”』
期間:2023年8月19日(土)〜9月2日(土)※月曜定休
時間:11:00~17:00
会場:京都・Cafe & Galllery Rokujian

『Closing Party』
日時:2023年9月2日(土) 22:00~
会場:京都・West Harlem Kyoto
ACT:TBA

■関連リンク
SoundCloud:https://soundcloud.com/kotsu0830
Instagram:https://www.instagram.com/kotsu0830/

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