米津玄師、JUNG KOOK、山下智久、Little Glee Monster、s**t kingz、Saucy Dog……注目新譜6作をレビュー
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は米津玄師「地球儀」、JUNG KOOK「Seven (feat. Latto)」、山下智久「Sweet Vision」、Little Glee Monster「今この瞬間を」、s**t kingz「No End feat.三浦大知」、Saucy Dog「夢みるスーパーマン」の6作品をピックアップした。(編集部)
米津玄師「地球儀」
宮﨑駿監督映画『君たちはどう生きるか』主題歌。バグパイプの音色と柔らかなハミングが遠くから聴こえる以外は、歌とピアノだけで淡々と進むバラードだ。メロディや展開にギミックはなし。ただ誠心誠意を込めてまっすぐに歌うだけ。米津にしては珍しいタイプの曲だろう。それなのに、気づけばものすごい熱量に巻き込まれていく、なんだかものすごいものに出会っている感じがするのは、もちろん宮﨑駿作品に対する愛と敬意であるはず。映画を見れば受け取るものはさらに変わってきそうだが、ひとまず音だけ聴いて言えるのは、本当に長く伝承されてきた人類の祈りのような曲だということ。〈この道が続くのは 続けと願ったから〉は名フレーズ。(石井)
JUNG KOOK「Seven (feat. Latto)」
Spotify「デイリートップソンググローバル」をはじめ世界中のチャートで1位を記録しているBTSのJUNG KOOKによるソロシングル。これまでソロ楽曲をBTSのアルバムに収録することはあったが、正式なリリースは「Seven (feat. Latto)」が初めてとなる。トラックの基調は、90年代初めに流行したUKガラージ。ソウル、ファンク、ハウスなどの要素を有機的に織り交ぜながら、2023年のサマーチューンとして再構築することに成功している。〈I’ll be lovin’you right/Seven days a week〉に象徴される、ディープな恋愛模様を映すリリック、そして、滑らかなグルーヴとともに切ない官能性を滲ませるボーカルも絶品。アメリカの女性ラッパー・Lattoをフィーチャーし、恋人同士の甘美な関係を描き出す演出もこの曲のポイントだろう。(森)
山下智久「Sweet Vision」
じつに5年ぶりとなるフルアルバム『Sweet Vision』のタイトル曲。作曲とサウンドプロデュースをUTA、作詞を山下とJUNが手がけたこの曲は、インディギターポップ的な佇まいの平歌、サブベースを効かせたオルタナR&B的なサビのコントラストが鮮烈。この曲のプロダクションからは、ジャンルやトレンドにとらわれることなく、自分が欲する音に忠実であろうとするスタンスが伝わってくる。歌詞のテーマは、“ビジョンが未来を作る”。現状に甘んじることなく、想像力を働かせながら、望む未来へとたどり着きたいーー切実かつ誠実なメッセージは、海外と日本を行き来する彼のキャリアとも重なる。そう、「Sweet Vision」は山下自身の生き方とダイレクトに繋がっているのだ。(森)