発展続けるDISH//の歩みは止まらない 次なる“始まり”も示したホールツアー『TRIANGLE』東京公演

DISH//、ホールツアー東京公演レポ

「僕たちはまだ未熟だけど、感じてきたことや思ったこと、それを形にしたのがこのアルバムです」

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 2月にリリースされた5thアルバム『TRIANGLE』を携えて、全国16カ所を廻ったDISH//のホールツアー『DISH// HALL TOUR 2023 "TRIANGLE"』。ツアーファイナルで、北村匠海(Vo/Gt)は冒頭のように語った。『TRIANGLE』は、12曲中11曲でメンバーが作詞もしくは作曲に携わったアルバムだ。他のバンドであれば普通のことかもしれないが、結成当初は楽器経験がなく、“ダンスロックバンド”としてキャリアをスタートしたDISH//にとって、そこに至るまでどれほどの努力があったことかは想像がつくだろう。決して生半可な気持ちではやり遂げられない高い目標を掲げ、彼らはこれまで着実に歩みを進めてきた。そんな彼らの、現時点での集大成が見られたツアーだったと思う。

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北村匠海(Vo/Gt)

 本稿では、6月29日に行われたファイナル・東京ガーデンシアター公演の模様を振り返っていく。開演時刻が近づくと、会場ではすでにライブを待ち望む観客たちの手拍子が鳴り響いていた。しばらくして場内が暗くなり、ステージ上に『TRIANGLE』にちなんだ三角形のオブジェが浮かび上がる。続けて、緑色のセットアップでそろえた北村、矢部昌暉(Cho/Gt)、橘柊生(DJ/Key)、泉大智(Dr)が登場すると、大きな歓声が沸き起こった。

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矢部昌暉(Cho/Gt)

 ライブは「沈丁花」でハートフルにスタート。続く「No.1」で北村が人差し指を高く突き上げると、フロアは同じポーズをとる人であふれた。疾走感のある演奏が会場を包み、勢いそのままに「FLAME」へ突入。「B-BOY」では橘と北村がステージを左右に移動しながら熱いラップバトルを繰り広げ、観客の熱量を高めていった。

 「アルバムから何曲かやらせてください!」と告げた後、披露されたのは「マチネソワレ」。ここまでハンドマイクだった北村も、この曲ではギターを抱え優しい音色を響かす。同じくアルバム収録曲の「スパゲッティ」では、三角形のオブジェがカラフルに光り、ポップな雰囲気に。「曲に合わせて左右に揺れてみましょう!」と声をかけたり、泉が叩くリズムを真似して手を叩くよう促したりと、フロアと積極的にコミュニケーションを取ることも彼らは忘れない。こうして会場が一つになった後で届けられた「缶ビール」「ブラックコーヒー」は、大勢に音を届けることを楽しむ彼らの様子が伝わってきて、音源で聴いているとき以上に輝きを放っていたように思う。

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橘柊生(DJ/Key)

 アルバムの中で一番制作に時間がかかったという「五明後日」では、北村がスタンドマイクに両手を添えながら力強い歌声を響かせ、橘が優しいピアノの音色で彩りを添えた。しっとりした雰囲気のまま代表曲「猫」を挟み、続けて5月31日にリリースされた新曲「エンドロールは悲しくない」を披露。演奏後のMCで、橘は「(ライブ)初披露!」と笑顔を見せ、6月28日リリースの「ウェディングソング」とあわせてツアー中に2曲も新曲を送り出せた喜びを語る。そこから話題はツアーの思い出へ。4人でツアーを完走できたこと(昨年のツアーは矢部が体調不良で不在となった公演があった)、ツアー中に泉の誕生日会を行ったことに触れ、メンバーの仲睦まじさが感じられたところで「キット」の披露に。4人それぞれの優しい歌声が響き、会場は温かい雰囲気に包まれていた。

 「踊る準備できてる?」という北村の言葉を合図に、ライブは後半戦へ。「KICK-START」では、間奏で泉とサポートメンバーが華麗にソロを回す。その後、北村、矢部とショルダーキーボードを抱えた橘の3人が一列に並び、ステップを踏みながら演奏する場面も。見る人を決して飽きさせない、彼らのエンターテイナーっぷりが伝わってくる。

 このままアッパーな曲が続くのかと思いきや、続いてはミドルテンポなナンバー「揺れてゆく」へ。緩急の激しさに、直後に北村が「DISH//のライブってジェットコースターみたいでしょ?」と言ったのにも思わず頷いてしまう。ふと周りを見渡すと、誰もが笑みを浮かべながら曲に合わせて楽しそうに体を動かしていた。この何が起きるのか分からないワクワク感がきっと、DISH//が多くの人を惹きつけている理由なのだろう。

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