『【推しの子】』『ぼっち・ざ・ろっく!』……音楽を扱ったアニメのヒット続く 成功の鍵は作品の“骨太さ”

 これだけの作品が生まれた背景には、音楽アニメの成功とコンテンツ力が認知されたことがあると思う。音楽系の作品はゲームやグッズ、ライブビューイングにミュージカルなど、生身のアーティストには難しい方面へも展開できる。声優などの固定ファンを取り込めるのも大きな強みだろう。

 アニメの社会的地位が上がったことで、気鋭の新人や大物アーティストがアニメ主題歌や音楽を担当することも多くなっている。Adoの歌声が彩る映画『ONE PIECE FILM RED』は興行収入197億円の大ヒットを記録。話題作『チェンソーマン』では豪華アーティストによる週替わりEDがオンエアされた。

 とはいえ成功する作品はやはり“骨太”なものばかりだと感じる。ミュージシャンの命が音楽ならば、音楽系コンテンツの命はキャラである。作り込みが甘ければどんなに音楽が良くてもヒットにつながりづらいシビアな世界。曲が良いだけでは身銭を切ってその作品を推す理由としては弱いのだろう。ヒットするのはいつも「アニメの主題歌」ではなく「名作アニメの主題歌」なのである。

 さて、現在放送されている2023年夏クールも音楽アニメがラインナップされている。『バンドリ』シリーズ最新作『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』はリアルバンドの成長も含めて気になるところ。『ラブライブ!』シリーズのスピンオフ『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』にも期待が高まる。ロッキング・オンの渋谷陽一が手掛けるアニメプロジェクト『Rhapsody』など、次なるヒットがどこから生まれるのかにも注目だ。

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