Bray me、挑戦のLIQUIDROOM公演で示した“音楽を鳴らす理由” 「このメンバーとチームで、聴いてくれる君がいれば大丈夫」

Bray me、LIQUIDROOM公演レポ

 静岡県で出会った中学の同級生4人で母体となるバンドを結成してから約15年。ロックバンド、Bray meがコロナ禍でスタートさせた自主企画『FROM GOOD MORNING TO GOOD NIGHT』が6月30日、恵比寿LIQUIDROOMで12回目の開催を迎えた。

 ゲストのFINLANDSのライブが終わり、こたに(Vo/Gt)、イトウアンリ(Gt)、SAKKO(Ba)、ありさ(Dr)というBray meの4人が登場。こたにがばっと大きく両腕を開いて、「Bray meです! 始めます!」と元気よく宣言してライブが始まった。まずは「エビデンスロード」から。ミドルテンポの温かみのあるバンドサウンドに、言葉を噛みしめるようにして自身を鼓舞する歌詞が乗る。〈よくぞここまで歩いてきた〉とこたにが歌うサビで一斉にフロアから拳が突きあがる。こたにが〈この声が聞こえるなら君が今を/生きる証〉と歌いながら、勢いよく右手をフロアに向かって突き出す。Bray meのライブのオーディエンスは、ただ単に音に乗って拳を突き上げるのではなく、曲に込められたメッセージに共鳴し、共闘を表明するかのように能動的に拳を突き上げるように見える。早速、ひしひしと熱い一体感が押し寄せてくる。

 こたにが「今日も精一杯グッドミュージックを楽しみます。心と体を揺らしていこう!」と呼びかけた。イトウとSAKKOがステージ前ギリギリまで勢いよく飛び出す。「シンデレラストーリー」だ。サビでまたもや一斉に拳が突き上げられる。こたにが右足を蹴り上げるような勇ましい仕草を見せつつ、「トウメイヒーロー」に雪崩れ込む。イントロでイトウとSAKKOが右の拳を突き上げ、ありさもスティックを高々と突き上げる。こたにがハスキーでたまに声を掠れさせながら〈僕のヒーローなんだ〉と歌い上げると無敵感が場内に充満していった。

 こたにが、「このイベントは、“おはようからおやすみまで”一緒にいられる音楽でありたいというBray meのテーマをタイトルにしてやっているイベントです。楽しいも、アガるも、踊るも、苦しいも、そんなこと気づきたくなかったも……それぞれ君が思うままに感じてもらえるイベントになってます。そんな感じで目の前にいてください!」と話すと拍手が起こる。続くイントロから巨大なエモーションが押し寄せてくる「青い炎」で、こたには「私はこのバンドを信じてる」というセリフ調の歌詞を1番に入れ込んだ。

 「今年でこのバンドは15年目なんだけど、音楽に心が動かなくなる日が来ることが一番ビビってる。でもこのメンバーとこのチームで、聴いてくれる君がいれば大丈夫だなと改めて思いました」とこたにが前置きして、今年展開した3カ月連続リリースのうちの1曲、「シンシア」を披露。〈大人になったら/その次は何になる?〉という歌詞から始まる「シンシア」は、今持っている感情や感覚がなくなってしまう時がいつか来ることに怯えながら、〈大丈夫〉と確かめる楽曲だ。4人は何も感じなくなるぐらいならいっそ辛い方が良いと、それがBray meにとって音楽をやる理由に直結するんだと言わんばかりの決意を丁寧に届けた。

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