リアルサウンド連載「From Editors」第14回:トップインフルエンサーたちの欲望が渦巻く韓国ドラマ『セレブリティ』

リアルサウンド「From Editors」第14回

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

シンデレラストーリー×サスペンスに引き込まれた『セレブリティ』

 今週はMeta社の新たな短文投稿サービス・Threadsのローンチが話題となりました。各国のインフルエンサー・企業も続々と参入しており、2日間でのアプリ登録者は7000万人を突破したといいます。ここからどの程度日常に欠かせないサービスとして根づいていくのかはとても興味深いところ。現時点では料理やファッションなどのコンテンツと相性が良さそうな印象もありますが、音楽業界との接点がどのように生まれていくのかも今から楽しみです。ここからの盛り上がりをチェックしていきたいと思います。

 そんなタイミングと重なるように最近観始めていたのがSNSにまつわる韓国ドラマ『セレブリティ』(Netflix)です。学生時代に父親の会社が破産してしまった元セレブのソ・アリが、本来持ち合わせるカリスマ性でインフルエンサーとして成功を掴んでいくという現代版シンデレラストーリーなのですが、このドラマが面白いのはそこにサスペンス要素が加わっていること。予想もしない方向にどんどん話が広がっていく展開に一気に引き込まれました。

 本作では、輝かしいセレブたちの闇の部分にフォーカスしているのも見どころ。アリと対立する「佳賓(カビン)会」と呼ばれるトップインフルエンサー集団の名声への執着や嫉妬・欲望がむき出しの本性と、SNSで映し出される華やかな姿とのギャップはすさまじく、つい「むかつくわー」と声に出して言いたくなるほど登場人物のほぼ全員が性悪です(笑)。保身のためなら仲間を簡単に切り捨て、汚い手も使う。気に入らない相手がいれば飲み物をぶちまけ、ビンタをして……とやりたい放題ですが、そのくらいの我の強さがなければ移り変わりの激しいSNS時代を勝ち上がっていけないという熾烈な競争社会のリアルを映し出しているようにも思います。アリのセリフのところどころに散りばめられた真理にも考えさせられるところがありました。

 そしてSNSとサスペンスといえば映画『search/#サーチ2』も観れていなかったことを思い出してしまい……また一つ観たいものリストに追加されていくのでした。

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