LUNA SEAはライブの度に頂点を更新し続ける 声出し解禁でファンと踏み出した大きな一歩
LUNA SEAが、2023年5月27日、28日の二日間にわたり、東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナで『THE BEST OF LUNA SEA 2023』を開催した。
思い返せばLUNA SEAは、コロナ禍に突入した2020年から様々な困難に見舞われながらも、堅実に前へと進んできた。2020年2月からスタートした全国ツアー『30th Anniversary Tour -CROSS THE UNIVERSE-』は、延期や中止を繰り返しながらも約2年もの歳月をかけて一つひとつの公演を積み重ね、2022年1月にさいたまスーパーアリーナで無事GRAND FINALを迎えた。その後、RYUICHI(Vo)が声帯にできた静脈瘤の除去手術を行うため、LUNA SEAは一時活動休止となったが、同年8月に日本武道館で開催した『LUNA SEA 復活祭 -A NEW VOICE-』で早々にカムバック。RYUICHIはそのステージで「僕の未来には光しかない」「新しい自分の歌を見つけていく」と宣言し、その言葉を裏づけるかのような見事な歌声を披露した。
そんなLUNA SEAが、また一歩前へ進んだのが今回の声出し解禁ライブである。本稿では、27日の「A Rosy Show」の模様をレポートする。
機材トラブルにより、開演は40分ほど遅延。待ちわびた観客たちの心を一瞬で燃え上がらせたのが、1曲目の「ROSIER」だった。爆音と共に火花が上がる特効で、ド派手にライブがスタート。ステージ後方の大きなスクリーンには真っ赤な薔薇の妖艶な映像が映し出され、同じく真っ赤なライトで照らされたステージでは、初っ端から飛ばしたステージングを繰り広げる5人の姿が見えた。
気合十分なのは、メンバーだけでない。約3年分の思いを解き放つように、客席からはメンバーの名前を叫ぶ声が次々と飛び交い、曲中もサビで〈ROSIER〉と観客たちが声を合わせる。また、今回の公演ではオフィシャルグッズとして、遠隔操作機能付きのブレスレットライト「LUNA SEA LIGHT」が導入。楽曲に合わせた光の演出で会場の一体感を高めていた。
「行くぞ、武蔵野の森!」と荒々しいシャウトでRYUICHIが煽ると、「TONIGHT」へ。イントロのフレーズをINORAN(Gt)が勢いよくかき鳴らすと、まるで地鳴りのような大歓声がアリーナ中に響き渡る。歓声はそのまま「オイ! オイ!」という掛け声に変わり、観客たちは拳を振り上げて熱狂した。
曲間やMC前にも絶え間なく寄せられる歓声や声援に、RYUICHIはサングラスを外して、「みんなの声を聴いて、もうちょっと涙ぐんでいます」と伝える。さらに、今回のセットリストについて「絶対これはベストライブになるだろうと考えながら5人でたくさん話し合いました。昔から俺たちのライブに来てくれているファン、もしかしたら今日初めてライブに来てくれたファン。全員に楽しんでもらえるよう準備してきたつもりです」と自信に満ちた表情を見せた。
その言葉通り、「TRUE BLUE」「END OF SORROW」「SHINE」「IN SILENCE」「gravity」と、これまでの歴史を彩ってきたシングル曲を惜しみなく披露。年月を重ねても決して色褪せない名曲たちは、観客の声でさらに輝きを増し、LUNA SEAのライブならではの圧倒的な高揚と興奮を届けてくれた。
ライブ中盤には、「ROSIER」のカップリング曲として1994年にリリースされた「RAIN」を、INORANのアコースティックギター、SUGIZO(Gt/Vn)のヴァイオリン、RYUICHIのボーカルという3人編成のアコースティックバージョンで披露。3人の奏でる美しい音色がアリーナ中に響き渡り、楽曲のクライマックスでは高ぶった感情を音に乗せるかのような情熱的なプレイを見せ、観客の心を強く揺さぶった。曲終わりの拍手と歓声は、長い間止まなかった。
そして今回からドラムソロとベースソロのパートも復活。まずは着物を羽織った真矢(Dr)が和楽器隊と共に登場し、燃え盛る炎に囲まれながら激しいドラムを披露する。魂のこもった一音一音がアリーナを揺らすと、客席からはもちろん“真矢コール“が返ってくる。真矢は、「みんなの声は、俺たち5人より美しいメロディを奏でてるぜ!」と眩しい笑顔を見せた。
続いて登場したJ(Ba)は、初っ端から「お前たちの声を聞かせてくれ!」と叫び、ステージ中央で激しくベースソロを奏でる。会場に響く大歓声に、「やっぱすげーな!」と、まるで少年のような笑顔を浮かべるJ。声が返ってくるたびに嬉しそうな表情を見せ、「さっきから真矢くんと目を合わせると涙が……。感動してます」と素直に今の思いを伝えた。