LUNA SEA、『復活祭』でSLAVEに届けた愛と想い RYUICHIが”新しい声”披露した一夜を観て

LUNA SEA『復活祭 -A NEW VOICE-』レポ

 「Phoenix of LUNA SEA」。メンバーのSUGIZO(Gt/Vn)は、この日見事な復活を遂げたRYUICHI(Vo)をそう表現した。2020年から2022年にわたって開催されたLUNA SEAの結成30周年記念ツアー終了後に、声帯にできた静脈瘤の除去手術を行うことを明らかにしたRYUICHI。その間、LUNA SEAは充電期間へ。2月に無事手術を終えたRYUICHIは、リハビリやトレーニングを重ね、5月からはソロ・河村隆一名義で配信ライブや有観客ライブが開催できるまでに回復した。そしてついにLUNA SEAのボーカリストとしてカムバックを果たしたのが、8月26日、27日に日本武道館で開催された『復活祭 -A NEW VOICE-』である。本稿では、26日の「Silky Voice」公演の模様をレポートする。

 360度ステージを取り囲む客席は、RYUICHIの歌声と復活するLUNA SEAの姿を待ちわびるSLAVE(LUNA SEAファンの呼称)で満員だった。どこか緊張感の漂う中、開演予定時刻を少し過ぎたころに暗転。SEなどはなく、まるで豪雨のような盛大な拍手の音のみに迎えられながら、RYUICHIが一人ステージに姿を現した。スポットライトが照らすスタンドの前に立ちマイクを握ると、集まった1万人以上の観客たちは一気に静まり返る。張り詰めた空気の中、アカペラで歌い出したのは、数々のライブを共にしてきた「WISH」。武道館中に響きわたるRYUICHIの新しい歌声は、観客たちが各々心の中に抱えていた不安や心配を吹き飛ばすほど、力強く美しいものだった。そして、真矢(Dr)、J(Ba)、INORAN(Gt)、SUGIZOとメンバーが集結し、LUNA SEA復活祭はいよいよスタート。5人の演奏が始まると勢いよく銀テープが飛び出し、華々しい幕開けを飾った。

 2010年の再始動後初めてリリースした「PROMISE」で溢れる希望を歌ったあとは、MCへ。RYUICHIは開口一番に「会いたかったよ!」と叫び、「今回はメンバーが“復活祭”と名付けてくれて、僕の声が復活するのを待っていてくれました。新しい声で、ずっと変わらない想いと今溢れている想いを、5人でみんなに届けたいと思います」と、メンバーとファンへ感謝の気持ちを伝えた。さらに、「正直不安はありました。でも僕の未来には光しかない。声は組織としては完璧に治していただいて、あとは自分が新しい楽器をどう弾きこなすか。新しい自分の歌を見つけていく世界を、これから見せていきたいと思います」と声帯に関する率直な思いも語った。

 ここからは、この日のコンセプトである「Silky Voice」に相応しいミディアムテンポやバラードのレア曲を立て続けに披露。1996年リリースのシングル『END OF SORROW』カップリング曲「TWICE」、2013年リリースのアルバム『A WILL』より「MARIA」、1993年リリースのアルバム『EDEN』より「RECALL」、2016年リリースのシングル『Limit』カップリング曲「I’ll Stay With You」と、様々な年代を行き来しながら、数々の名曲を届けていく。RYUICHIは艶やかな低音から伸びやかな高音まで見事に歌い上げ、武道館中を魅了した。ライブ定番曲の「SHINE」では、JとINORANが花道を駆け上がり、観客たちのすぐ近くでパフォーマンスを披露したかと思えば、ステージの真ん中に4人が集結し、メンバー同士で笑い合う場面も。一部のラストを壮大に飾ったのは「absorb」。真矢の迫力満点のダイナミックなドラムは、観客たちの心に大きな衝撃を残した。

RYUICHI(Vo)

 インターバルを挟んで始まった二部は、キラーチューン「ROSIER」で勢いよくスタート。真っ赤なライトに照らされて繰り広げられるアグレッシブなパフォーマンスに、会場は一気に熱を帯びていく。息つく間もなく「Déjàvu」が始まると、さらにボルテージは上昇。観客たちのジャンプで武道館全体が揺れるほどの盛り上がりを見せた。「IN SILENCE」「銀ノ月」の美しいメロディで会場を酔わせた後は「STORM」で再び激しいなステージを繰り広げ、「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」でとどめを刺す。まるで獣のように鮮烈なシャウトを繰り出すRYUICHIの気迫に、SLAVEたちも勢いよく暴れ狂っていた。そして本編ラストは「BELIEVE」。RYUICHIが最後まで振り絞るように歌い上げると、観客たちは精一杯の拍手をおくり、感謝の気持ちを届けた。

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