LUNA SEA、黒服限定GIGでステージから5人が放った狂気 12年ぶり“LUNACY”名義公演でレア曲連発

LUNA SEA、黒服限定GIGレポ

 2022年12月17日のさいたま新都心駅周辺を彩っていたのは、煌びやかな色とりどりのイルミネーション、ストリートピアノから流れるクリスマスソング、賑やかなクリスマスマーケット、そして臨戦態勢の黒服集団だった。

LUNA SEAライブ写真
RYUICHI(Vo)

  この日、さいたまスーパーアリーナで開催されたのは、『LUNA SEA 黒服限定GIG 2022 LUNACY』。LUNA SEAは、これまでにも黒服をドレスコードとしたライブを度々開催してきたが、バンド結成当初の名義“LUNACY”を掲げて行うのは、2010年12月以来、約12年ぶり。“狂気、衝動、耽美、毒、デカダンス... 漆黒の夜にデビュー前の熱い想いが蘇る。”ーー公式サイトに記された文言に心を躍らせたSLAVE(LUNA SEAファンの呼称)たちは、思い思いのファッションで全身を真っ黒に染め上げ、このライブに臨んだのだった。

 アリーナ中が漆黒に染まる異様な雰囲気の中、天井からは白い光がステージへと降り注ぎ、荘厳なSEが流れ始める。音楽が止むと、約15秒間の沈黙。張り詰めた空気を打ち破ったのは、SUGIZO(Gt/Vn)が奏でるヴァイオリンの音色だった。悲痛な叫びのようにも聴こえる美しいその音色に冷たい秒針の音が重なり、「THE SLAIN」が静かに始まる。過去に時を戻すための装置としてなのか、メンバーの頭上には時計を模したメカニカルなオブジェが佇んでいた。RYUICHI(Vo)の狂気に満ちた叫びがいくつも重なり、ダークな世界観へと飲み込んでいく。このライブを象徴するようなレア曲からの幕開けに、観客たちは圧倒され、身動き一つせずにステージを見つめていた。

LUNA SEAライブ写真
SUGIZO(Gt/Vn)

 真矢(Dr)のドラムからエンジンがかかって始まった「FATE」で、静まり返っていた会場は一気に熱を放つ。まばゆい光が照らすステージには、黒い衣装と攻撃的なヘアスタイルで当時を再現したようなビジュアルのメンバーがいた。その姿がさらに観客たちを高揚させる。続けてアグレッシブな「SLAVE」が繰り出されると、アリーナは早くも熱狂が渦巻く空間へ。真っ赤なライトに照らされたステージでは、サングラスを外したRYUICHIが獣のような鋭い視線で観客たちを見つめていた。

 「最狂の夜を楽しもうぜ。飛ばしていこうか」と、荒々しい口調で煽るRYUICHIが次にコールしたのは、「MECHANICAL DANCE」。割れんばかりの拍手から、観客たちが待ち焦がれた楽曲であることが伝わってくる。J(Ba)のベースソロに、タイトで激しいドラムが重なり、さらにギターの轟音が加わると、観客たちはまるでライブハウスにいるかのように踊り狂う。その後も「BRANCH ROAD」「SANDY TIME」「SYMPTOM」「SHADE」と、活動初期にリリースされた名曲を連発。緊張と解放を繰り返しながら、狂気に満ちたLUNACYの世界を見せつけ、第一部は幕を閉じた。

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