miwa、会場を一つにした5年ぶりの『acoguissimo』ツアー 観客と作り上げた熱量高いステージ
『acoguissimo』では恒例のmiwaへの質問企画「miwaに言いたい聞きたいコーナー」を挟み、次は観客と「2月14日」のデュエットへ。原曲で川崎鷹也が歌唱しているパートを歌ってくれる人を客席から募るという。この日選ばれたのは、なんと3歳の女の子。ステージに2人が並び、miwaが女の子を見守るように優しく演奏する様子はなんとも微笑ましい。緊張を感じさせない堂々とした歌声に演奏終了後には歓声があがっていた。
「大人も負けたくないですよね?」と、続いて披露されたのはサビでのシンガロングが印象的な「ONENESS」。その後は「B.O.Y」「ヒカリヘ」と疾走感のある楽曲が続けて披露され、フロアからは大きな手拍子が鳴り響いた。
「久しぶりにみんなの声も聞けてパワーをもらえました!」と笑みを浮かべるmiwa。ライブでの声出しができなかったこの数年間は、不安に思った時もあったという。そんな日々を振り返りながら、「今日みたいに少しでも自分らしくいられるようなパワーをみんなに届けたい」と、本編ラストに「あなたがここにいて抱きしめることができるなら」を披露。真っ直ぐにフロアを見つめ、〈大丈夫/私がいるよ〉と優しく歌うmiwaの姿は、私たち一人ひとりに寄り添っているように思えた。
アンコールでは「春になったら」の音源とともに、ライブグッズに身を包んだmiwaが再びステージに登場。ステージの端から端までを往復しながら、ハンドマイクで曲を歌い上げた。とはいえ「春になったら」はあくまでアンコール登場曲だったそうで、本当のアンコールはここから。今日はゲストが来ていることをmiwaが告げると、ステージにライブのサポートメンバーとしてお馴染みのオバタコウジとejiが登場。オバタがギター、ejiが鍵盤ハーモニカを抱え、3人で「Faith」を届けた。3人の迫力ある演奏に、フロアはこの日最高潮の盛り上がり。会場はアコースティックライブとは思えない熱気に満ちていた。
続くアンコール2曲目は、会場ごとに違う楽曲を演奏しているという。東京公演で披露されたのは「そばにいたいから」。デビュー前に下北沢LOFTでライブをしていた時代から演奏していたという、彼女にとって大切な1曲だ。当時を思い出していたのか、歌い上げた後にmiwaは「誰も聴いてくれる人がいない中でも自分を信じて歌ってきました。その先に今があります」と語り出す。
「ギターだけでみんなと繋がれて本当に幸せです。みんながいるからこうして歌うことができています」と感謝を告げた後、ラストに届けられたのは「アコースティックストーリー」。彼女の言葉と、〈タオル回す笑顔も/クラップも君の声も/なにひとつ欠かせはしない〉という歌詞を聴きながら思う。ああそうか、miwaは1人ではないのだと。もちろんステージに立っているのは彼女だけだが、このライブは観客とともにつくりあげているものだ。『acoguissimo』は、観客の声や手拍子があってこそ成り立っているもの。一緒に最高の景色を見に行く〈みんな〉が必要なのだと。
曲の終盤、観客の歌声が響く中でmiwaはギターを弾く手を止め、ステージの前方へ歩いて行った。フロアの近くまで寄って、一人ひとりの声を聴くように、表情を目に焼きつけるようにじっくりと見届ける。この日、ステージとフロアの垣根を越えて、会場は間違いなく1つになっていた。
MCでmiwaは、「弾き語りは私の原点であり、これからも続けていきたいもの」だと語っていた。その言葉通り、当初の目標である47都道府県制覇を達成した後も、彼女は再びギター1本で各地を周っている。そして行く先で待っている人たちとともに、素晴らしいライブをつくりあげていくだろう。音楽を辞めない限り、miwaのアコースティックストーリーはこれからも続いていくのだ。
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