miwa、会場を一つにした5年ぶりの『acoguissimo』ツアー 観客と作り上げた熱量高いステージ
曲中のシンガロングと、転換時に響き渡る「miwaー!」という温かい声援。ライブでの声出しが解禁されつつある中で、開催するタイミングとしては最高だったのではないか。
miwaが『acoustic live tour 2023 "acoguissimo 5"』を4月から5月にかけて開催した。『acoguissimo』は2011年に47都道府県制覇を目標にスタートしたギター1本の全国弾き語りツアーで、これまでに4度にわたって行われてきた。2018年に横浜アリーナ公演をもって47都道府県制覇を達成。本ツアーは前回の『acoguissimo 4』から約5年ぶりの開催となり、全国12都市を巡った。この記事では、5月12日に行われた東京・Zepp Haneda(Tokyo)公演の模様をレポートする。
定刻になり、暗くなったステージにmiwaが登場。アコースティックギターを抱えると、鋭いカッティングを合図に「chAngE」でライブはスタートした。
さて、アコースティックギター1本の弾き語りと聞いたらどんなライブを想像するだろうか。もしかしたら、しっとりした演奏に観客が静かに聴き入るような図を思い浮かべるかもしれない。しかし、『acoguissimo』は違う。「いけるか東京!」というmiwaの呼びかけに応じるように、「chAngE」のサビでは観客の手が一斉に挙がり、勢いよくタオルを回す光景が見られた。続く「君に出会えたから」ではイントロから観客の歌声が響き渡り、サビでは左右に手を振るなど、すでに会場に一体感が生まれているのが分かる。演奏自体はギターと歌声のみという構成だが、ステージとフロアが一緒に盛り上がるライブ風景は、バンド編成時のものと変わらない。
MCでは『acoguissimo』の開催が久々であることに触れ、「みんなに何を聴いてもらいたいか悩んだ」と語る。そんな言葉を表すように、ライブは新旧織り交ぜたセットリストで届けられた。3曲目に披露されたのは、5月24日リリースの新曲「ハルノオト」。1番サビまでを繊細な歌声とアルペジオで奏で、後半は力強い歌声とストロークで緩急をつける。1曲に込められた物語を、弾き方と歌い方を変えながらmiwaは丁寧に描いていく。
「Love me」と「片想い」では観客に着席を促し、アコースティックライブらしいしっとりした雰囲気で届けた。ギター1本の弾き語りというのは、もし自分が音を止めれば演奏がすべて鳴り止んでしまうわけで、怖くはないのだろうかと思ってしまう。しかし、そんな不安や緊張は全く感じさせない堂々としたパフォーマンス。miwaの楽曲の魅力の1つにメロディラインの気持ちよさがあると思うが、この日はギターと歌のシンプルな構成だけあってそれが際立って聴こえた。