Homecomings、仲間との10年の歩みでたどり着いた素晴らしい場所 自信と喜びが伝わった恵比寿LIQUIDROOMライブ

Homecomings、LIQUIDROOMレポ

 今年でデビュー10年目を迎えるなか、新作『New Neighbors』を発表したHomecomings。4月から始まった全国ツアー『Your Friendly Neighborhood Homecomings』の東京公演が4月28日に恵比寿LIQUIDROOMで開催された。

 幕が上がるとステージには楽器や機材がところ狭しと並び、まるで部室のよう。そして、機材の上には新作のジャケットに登場した4体のマペットがサポートメンバーみたいに座っている。そこに登場するHomecomingsの4人、畳野彩加(Vo/Gt)、福富優樹(Gt)、福田穂那美(Ba)、石田成美(Dr)。最初に演奏したのは、新作のオープニングを飾った「ラプス」だ。石田のハネたドラムが曲を先導して、そこに絡む福田のベースが絡む。リズムセクションが心地よいグルーヴを生み出す曲で、ライブはゆったりとスタートした。

 2曲目の「ヘルツ」も新作から。「ラプス」と同じように反復するビートを持った曲で、そこに畳野が歌いながらギターを刻み、福富のギターがサビで高らかにメロディを奏でる。4人それぞれの演奏が、しっかりと聞こえるようにアレンジされている。そして、そこからファンキーなドラムが活躍する「i care」。この曲でもバンドはタイトなアンサンブルを聴かせて、福田と石田のコーラスが畳野のボーカルに華を添える。

 そんな冒頭の3曲を聴くと、近年、バンドがR&Bやソウルなどから影響を受けて、グルーヴ面を強化させてきた成果を感じさせた。続く「PAINFUL」では力強いドラムを軸にして、2017年に発表された当時より、一段とダイナミックになったバンドサウンドが炸裂。そこからテンポをあげて「HURTS」、さらに激しくパンキッシュに疾走する「I CAN'T TELL YOU WHAT I'M GOING TO DO」と初期の曲を立て続けに披露する。後者は6年ぶりに演奏したそうだが、新作に続けて初期の曲を演奏することで、デビューから10年という年月を経たバンドの成長ぶりを見せてくれた。

 一息入れて、福富が新作について観客に語った。一人ひとりが優しい気持ちを持つことで社会を少しでも変えていきたい、というメッセージは近年のHomecomingsの作品に盛り込まれてきたこと。Homecomingsはどんな時でもみんなの味方、すぐそばにいる隣人(ネイバーズ)でいたい、と福富は語り、様々なジェンダーが暮らしやすい社会になってほしい、という想いを込めた「光の庭と魚の夢」を演奏した。ここから「euphoria / ユーフォリア」「Here」「Shadow Boxer」と歌をじっくりと聴かせる曲が並ぶ。メンバーそれぞれがバンドの音に耳を傾けながら、丁寧に音を重ねていく。ノリを重視した前半とはまた違う、繊細な演奏を聴かせてくれた。

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