Homecomings、優しさと温かさのあるライブ　毎年恒例クリスマスシーズン自主企画イベントレポ

　Homecomingsが、毎年恒例のクリスマスシーズン自主企画イベントを渋谷Spotify O-EASTにて開催した。今年は12月19日に『Garden With A Holy Light』と題し、ホムカミらしい、優しさと温かさのあるライブであったと同時に、バンドの1年の集大成のような日になった。

　ランプシェードや花、フェアリーライトなどが施されたステージに、Homecomingsのメンバーが登場。石田成美（Dr/Cho）によるカウントを合図に奏でられた、「Blue Hour」でこの日のライブはスタートした。開演早々、リスナーに寄り添うような畳野彩加（Vo/Gt）の歌声、会場の奥まで美しく届く福田穂那美（Ba/Cho）と石田のコーラス、福富優樹（Gt）の柔らかいギターの音色など、あらゆる角度からリスナーを一瞬にして魅了していくメンバーたち。続く「Cakes」、「Songbirds」では、メンバーのバックに飾られたフェアリーライトからオレンジの光が灯されることで、曲の持つ温かみがより際立って伝わってきた。

　「よろしくお願いします、Homecomingsです」と軽く畳野が挨拶し、日常にある些細な幸せを描いた「Hull Down」をドロップ。リスナーも身体を左右に揺らし、楽しんでいるのが微笑ましい。畳野がアコギに持ち替えて披露した「BUTTERSAND」は、終始同じコード進行で進むのが印象的な1曲で、そこに掛け合わされる福富の伸びやかなギターサウンドも心地いい。また、次曲「Smoke」ではバックに点々と置かれたライトだけが灯されるシーンもあり、星空のもとでゆったりと歌っているような感覚を覚えた。そのまま間髪入れずに子守唄のようにドリーミーな「Blanket Town Blues」に繋げていく。

　「新曲やります」という畳野の前置きのもと、広瀬アリス主演ドラマ『失恋めし』の主題歌にも決定している「アルペジオ」が演奏された。ホムカミらしい包容力のあるサウンドで、リスナーの味方になってくれるような楽曲だ。その後も「Continue」、「ANOTHER NEW YEAR」をドラマチックに歌い上げる。

　この時点で10曲、約1時間ノンストップで演奏してきたメンバーが、ここでこの日初となるMCを挟んだ。福富が改めて挨拶をして来場のお礼を告げたあと、ちょうど昨年のクリスマスシーズン自主企画でメジャーデビューを発表し、今年の5月に引越しや変わっていくことの意味を込めたアルバム『Moving Days』でデビューしたことを振り返った。

　後半は『Moving Days』に収録されている楽曲「Herge」から始まった。畳野がギターを置いて奏でたキーボードサウンドはもちろんだが、福田のメロディックなベースも聴き逃せない大事なポイントだ。次の「Moving Day Pt.2」でも引き続き畳野がキーボードを鳴らす。〈やさしいだけでうれしかったよ〉という過去形の歌詞が、過去を思い出す懐かしさと温かみを醸し出し、聴き手をどこかエモーショナルな気持ちにさせた。

　再び畳野がギターを手にした「Pedal」では、リスナーによるクラップも。ホムカミのメンバーたちは自らクラップをしたり手を挙げるようリスナーに促すことはせず、曲の受け取り方や楽しみ方を完全にリスナーに委ねるスタンスだ。だからこそ、リスナーがクラップをすることはホムカミの音楽に自然と身体が動いていることを表している。「PAPER TOWN」「Here」を壮大な演奏と伸びのある歌声、コーラスで届け、「最後の曲です、ありがとうございました」と畳野が挨拶。ラストは「LIGHTS」で締めくくった。曲の終盤では4人が向き合って音を鳴らしていて、これまで一緒に歩んできたメンバー同士の信頼や絆が感じられた。