#KTちゃんが目指すオリジナルのヒップホップ 『高校生RAP選手権』などMCバトル経験を生かした楽しませるラップスタイル

#KTちゃんオリジナルのヒップホップ

対戦相手とのセッションを通して会場のみなさんを楽しませたい

――#KTちゃんは、いつ、どんな場所でリリックを書くことが多いですか?

#KTちゃん:家で勉強机に向かって考え込むタイプです。昼間に公園とかに行って書く人もいるじゃないですか。アレをやるとアイデアがどっかに飛んで行っちゃうそうな感じがするんですよ。だから一点集中で思いついたアイデアが凝縮されるように、書き始めたらほとんど動かないみたいな。

――作業時間は主に夜ですか?

#KTちゃん:一日中ですね。昼夜は関係ない。今日書きますとなったら、机に向かってずーっとやってます。動かないです。だからご飯とかも持ってきてもらう、みたいな。

――部屋のドアの前に置いといてください、みたいな。

#KTちゃん:そんな感じ。それだとお腹減っちゃうからキャンディをずーっと舐めてるんですよ。今回、「ぴーおーぴー」が不二家のポップキャンディーのCMソングになったんですけど、その前から、あのペコちゃんの棒つきキャンディーが本当に好きで。1曲作るのに40本とか舐めてるんです。キャンディを舐めながらずーっと考えてて。

――じゃあ、1曲書き上げるまで机から離れない?

#KTちゃん:そうです。一段落するまで動かない。普通に6、7時間はやってますね。

――すごい集中力ですね。

#KTちゃん:自分が立ち上がるタイミングは7時間とかだけど、そのあとにまた数時間座り込んでやる、みたいな。そうやって1曲書き上げるまで続けます。

――使うのは紙とペンですか? それともスマホ?

#KTちゃん:紙とペンですね。シャーペンで書くときもあるけど、無印良品のこすって消せるボールペンも使います。そういう色ペンで書いたりとか。

――パーツ毎に色を変えるの?

#KTちゃん:ずっと同じ色で書くんですけど、色がついていると可愛くてテンションが上がるっていう。基本、青色のペンで書いてます。青って集中力が上がるって聞いて、高校受験のときにハマってからずっとその青色のペンで歌詞は書いてて。

――そうやって書いたモノをリリック帳として持っている?

#KTちゃん:そうです。ルーズリーフをバンと一枚出して書くんです。スマホとかに書くとうっかりアイデアを消しちゃったりすることもあるじゃないですか。だから絶対に紙。あと、紙に書いてると想いが乗るというか。自分の手で書いてるから。

――修正した言葉も残しておきますか?

#KTちゃん:残しておきます。ぜーんぶ残ってます。消せるペンを使っているのは誤字ったときに書き直すため。ボツになった歌詞も全部残していますね。書いたアイデアは敢えて全部残しておいて、自分が新しいアイデアを見つけるきっかけにするんです。過去の私が助けてくれます(笑)。

――『高校生RAP選手権』出場以降、いろんなMCバトルに出てきましたが、バトルを重ねてきて、自分のラップスタイルにどんな変化がありますか?

#KTちゃん:最初は本当にディスらないこととファンタジーワードを使うことに集中してました。ある意味エンタメ性の高いもの、自分の世界観が存分に出せるようにっていう意識でやってたんです。だけど、回を重ねる毎にいろんなスタイルのラッパーさんを観て刺激を受けて、ヒップホップのパッションみたいなものをバトルの中に盛り込んでいくことが少しずつ増えた気がします。

――それは自然と? 意識的に?

#KTちゃん:バトルに出てたら自然とそうしたくなってきたという感じです。それこそカルちゃん(呂布カルマ)とかタマちゃん(DOTAMA)と闘ったりする中で、MCバトルの本当の楽しさとか心が熱くなる瞬間みたいなのをお客さんや相手の方と共有できるようになって。そこから、その心のざわめきを自分からも発信したいっていう気持ちが増えてきました。

――最初は右も左も分からない状態で『高校生RAP選手権』に出たんですもんね。

#KTちゃん:そうです。何にもわからないまま飛び込んだ世界だったから。ラップのフロウとか、本当に知らなかった。フロウという言葉は知っていたけど、実際にそれを体感して、「あ、これがフロウなんだな」とか。ヒップホップを頭で楽しもうとするんじゃなくて、体で楽しめるようになったところはありますね。「うわ、かっこいい」と思ったり、「うわ、今のめっちゃ上がった」と思ったり、「今のパンチライン、めっちゃ心に刺さった」と思ったり。そういう心が動いた瞬間に自分の中に取り込まれていった感じだったんで。自分の心が震えれば震えるほど、ヒップホップの世界を体で好きになっていった感じです。

――#KTちゃんがステージに立つときに意識していることは?

#KTちゃん:ステージに立ったら開き直るじゃないけど、私は緊張しないタイプで。ステージに立った瞬間にお客さんにバイブスをバーンとぶつける。とにかく楽しみながら、対戦相手もお客さんも、その空間にいるすべての人に私の声と気持ちが届くようにっていう意識で立つんです。それはめちゃめちゃ意識してます。

――お客さんを楽しませる意識が強いんですね。

#KTちゃん:回を重ねるごとにお客さんの歓声も込みでバトルみたいな。対戦相手だけじゃなくて、観に来てくれて参加してくれているお客さんと全員で作り上げるもの、みたいな。そういう意識に変わってきたんです。ベクトルが対戦相手の方だけだったところから、今はお客さんも巻き込んでのバトルみたいな。そういうふうに意識が変わっていったんです。

――#KTちゃんのバトルを観てると、対戦相手の方をあまり向かず、ステージの正面、お客さんの方を向いてる印象が強いんです。基本的にお客さんの方を向いてラップしている。

#KTちゃん:確かに。それは対戦相手のことをあんまり気にしていなくて。私が楽しませたい相手ってお客さんなんです。対戦相手とのセッションを通して会場のみなさんを楽しませたいんです。

――だからこそ、異端児として受け取られたのかもしれないですね。対戦相手を見ずに違う方を見てラップするヤツが現れたぞっていう。

#KTちゃん:それはありますね(笑)。ステージ立ったらついつい前を向いちゃうんですよ。無意識のうちに体が前を向く。というのも、私が子役時代に立っていたのは主に舞台だったんです。演目を終えるとお客さんが静かに拍手する、みたいな。そういうのが私の中の「ステージ」だったんです。でも、初めて『高校生RAP選手権』に出たとき、「ガラスの靴」が私の人生初のパンチラインなんですけど、それを言ったときにお客さんがうわーっとなったんですよ。そのときに「これがバトルなんだ」と思って。これをみんなが求めていて、私はお客さんにこの歓声をもっと言ってもらいたいなっていう気持ちになったんです。

――ひょっとしてドラマや映画を中心に活動していたら表現手法が違うから、バトルスタイルも違ったかもしれないですね。

#KTちゃん:そうだと思いますね。今のスタイルは過去の自分があるからこそ出たもの。本当にバトルって過去の自分が出る。一回一回に出るので結構さらけ出してる感じでバトルしてますね。生き様が出るというか。使ってる言葉もそうだし、立ち居振る舞いもそうだし、全部、鏡みたいに過去の自分が映し出されるので。

――それは怖いですか? 楽しいですか?

#KTちゃん:楽しいです。みなさんに楽しんでもらえるようなバトルができるように、これからもこの#KTちゃんのスタイルは貫いてやっていきたいです。

――「KT劇場」と言われる独特のスタイルがバッシングを受けることもあります。ヘイターの存在をどう受け止めていますか?

#KTちゃん:私はエンタメだけに突っ走ったものをやりたいというわけでもなくて。誰にもないオリジナルスタイルをやりたいと思っているからこそ、「アレはバトルじゃないよ」とか「王道のヒップホップじゃないよ」とかって言ってくれると、「私、今、自分がやりたいオリジナルのヒップホップができてるんだな」っていう道しるべになるというか。なので、アンチのコメントとかが来ると「おっ。私、今日も間違ってないわ」みたいな。私、今日も良い感じにはみだしてるわって思う。だから、ヘイターさんの存在は私がオリジナルを貫けている証拠だと思っています。

――#KTちゃんにとってMCバトルってどんなモノですか?

#KTちゃん:私が#KTちゃんを示せる場所。私がオリジナルを示せる場所だと思ってます。唯一無二の、オンリーワンのことをやりたいと思っているから。私がポップな世界に飛び込んでいたら、みんなと同化するじゃないですか。でも、ヒップホップとかバトルの場所だから私みたいなスタイルが目立つ。私が私だっていうことをバトルに出て体感できるんです。

――自分の存在価値を確かめられる場所なんですね。

#KTちゃん:そうです。あとは、去年の7月に『高校生RAP選手権』に出たときには考えてもいなかった両国国技館という大きな舞台に立てるようになって、本当に夢があるなって思います。よくヒップホップドリームって言いますけど、夢がある場所だし、自分のスタイルを表明できる場所だし、たくさんのお客さんから一斉にうわーっと言われたときのアドレナリンみたいなのがすごくて、そういうのも病みつきになっちゃってますね。

――今後もバトルには出て行くんですか?

#KTちゃん:出て行きます。こないだの『FSL VOL.2』で負けて改めて悔しさを覚えたんです。負けちゃって本当に悔しくて。まだバトルで一回も勝ってないし、制服を脱いで新しい#KTちゃんを見せていくっていう意味でも勝ちに行きたいです。

――一方、ラッパーとしてはどのように活動をしていきたいですか?

#KTちゃん:男女問わず年齢問わず、カッコイイと思えるようなラップをやっていきたいです。幅広く楽しめるラップがあってもいいとずっと思っていたので、だからこそTikTokで、みんながとっつきやすいようなラップのコンテンツを作ったりして、楽曲以外の活動もしているんです。今後はゴリゴリのヒップホップが好きな男の子からもカッコイイと思ってもらえて、女の子にも「これ、ポップで楽しいかも」って思ってもらえるようなラインで勝負していきたいなって思います。

――#KTちゃんはラップを通じてリスナーやお客さんとどんなことを共有したい?

#KTちゃん:ハッピーな、楽しい気持ちを感じてもらいたくて。私が楽しんでいるところを見てもらって、その人も楽しい気持ちになってもらったりとか、そういうポジティブな気持ちを共有したいですね。あとは勇気が出るじゃないけど、今日も頑張ろうって思えたりとか、テンションを上がるような曲をいっぱい作りたいです。

――今後のラッパーとしての目標は?

#KTちゃん:『#KTちゃんの原宿おかしサイファー』っていう私が主宰しているイベントがあるんですけど、そのイベントをどんどん大きくしていって、いつか両国国技館でワンマンライブができるくらいビッグになりたいなって思います。

――日本武道館じゃなくて両国国技館なんですね。

#KTちゃん:バトルで両国国技館のステージに立ったときに「ここ、最高だわ」と思って。最初はアリーナとか日本武道館とか、そういう大きなステージがいいなと思っていたんですけど、実際、両国国技館に立ってみて、ここにもう一回立ちたいなって思ったんです。

――そこに向けて、今、いちばん頑張りたいことは?

#KTちゃん:バトルの目標はまず一勝。あとは楽曲制作にも力を入れていきたいです。今、次の曲を作ることは決まっていて、もうすぐ作り始めるので、どんどん曲を作って、自分のライブで歌えるように持ち歌を増やしていきたいです。

――バラエティ番組にも出演していますが、そういう活動はどうしていきたいですか?

#KTちゃん:めっちゃ出たいですね。どんなお仕事も興味があるから、マルチにやってみたいなって思います。ただし、ラッパーとして出て行きたいです。ラッパーだからコメントで韻を踏んだりとか、ラップを武器にしたい。10代とかZ世代として出ているタレントさんはいっぱいいるじゃないですか。その方たちと違う味を出すとしたらラップなんじゃないかなと。私がやりたいことはラップなので、ラッパーとして他の場所にもお邪魔させてもらえたら良いなって思います。

「ぴーおーぴー feat. DJペコちゃん」
「ぴーおーぴー feat. DJペコちゃん」

■リリース情報
「ぴーおーぴー feat. DJペコちゃん」
配信:https://lnk.to/P-O-PfeatDJPeko-CHAN

#KTちゃんTwitter
https://twitter.com/kt_disritakunai

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