KT、キュートでポップなラップを発信する理由 「自分のスタイルで世の中をひっくり返しちゃいたいなって!」

KTが発信する独自のラップスタイル

 TikTokで発信されている「#派閥ラップ」などのコンテンツを通してティーンエイジャーを中心に注目を集めるルイとKT。1stシングルとなる「シ・ド・レ・ミラクル」は、ルイとKTとの掛け合いと、ラップとボーカルを織り交ぜたカラフルな楽曲の上で、日常の中に起こるミラクルをパックしたポップな一曲となって完成し、彼女たちの軽やかな魅力を描き出している。

 17歳の現役高校生であるKTは『第17回高校生RAP選手権』や『戦極vs凱旋 MCBATTLE』にも登場し、バトルの中でキュートな色合いでその存在感を高めた。今回はKTに、バトル出場で感じたことや、これまでのライフヒストリー、ルイとKTとしての活動、そしてこれからなど、多角的に話を聞いた。(高木"JET"晋一郎)

呂布カルマさんが私に札を上げてくださって嬉しかった

――『第17回高校生RAP選手権』(以下、高ラ)、『戦極vs凱旋 MCBATTLE』と、連続してMCバトルに登場されましたが、そもそもバトルに出たきっかけは?

KT:高校に入学した年にコロナ禍が始まって、授業がリモートになったり、学校の行事もみんななくなってしまっているんですね。だから、コロナ禍前にはあったような、当たり前の学校生活や高校ライフみたいなものが、ほとんどできないまま、卒業することになっちゃうなって。それで「高校生だったときの記念」として、高校生ならではの思い出として、この年代じゃないと出られない『高ラ』に出たいと思ったんです。

――今の学生は本当にコロナでいろんなものが奪われてしまってると思うし、可哀想という言葉では片付けられないぐらいだと思うんですが、それでも「高校生として何かを残す」ということで『高ラ』に出場しようと。

KT:そうですね。それでオーディションを受けたんですが、楽屋に入ってビックリしました。制服なのは私だけだし、みんな「……本当に高校生ですか?」みたいな格好の人ばっかりで(笑)。しかも楽屋でみんなで丸くなってサイファーが始まったり、かなりカルチャーショックを受けて、楽屋の隅っこで縮まってました。

――同じ世代なのに(笑)。

KT:それで、結構ビビりながらオーディションを受けたんですけど、私のラップで審査員の人が笑ってくれたり、上がってくれたので、結構緊張がほぐれましたね。

――それまでバトルやサイファーの経験は?

KT:周りにはサイファーやバトルをやる友達はいなかったんですよね。初めてでした。

――バトル自体に興味はあったんですか?

KT:ラップの練習はしていたんですが、バトルに関しては『高ラ』決勝大会に出るのが決まってから見るようになりました。まずYouTubeにアップされてるベストバウト集とかから見始めたんですが、やっぱり最初は怖かったですね。オラオラな人とか、いきなりディスったりとか、自分とは違う世界のカルチャーだなって。でもその中でもキャラが立ってる人とか、面白いディスり方をする人をみて、こんな戦い方もあるんだ! ってことが分かるようになって、そこから楽しくなっていって。

――そう思わされたラッパーは?

KT:DOTAMAさんですね。私が最初に見た映像だと、スーツで登場してメガネを掛けていて、全然ラッパーっぽくない格好だったんですよね。それなのにゴリゴリのラップで、リズムに乗りながら相手の痛いところをズバババババ!って毒舌で突いていくところは、すごく面白かったし、格好良かった。そこで「MCバトルって面白いんだ!」というか、バトルの見方が分かった感じがしましたね。

――『高ラ』ではバトル相手の長瀬さんに対して、皮肉っぽいラップをぶつけたと思うし、それが審査員だった呂布カルマさんをして「女の子版のDOTAMA」と言わしめた理由なのかなって。

KT:みんなを楽しませたり、場を盛り上げるようなラップが、自分がやりたいことなんですよね。だから『高ラ』の本番でもすごく明るいラップや、シンデレラみたいなファンタジーっぽい軽やかなラップがしたいって思ってた……んですけど、ハイになっちゃって(笑)。長瀬ちゃんには負けちゃったんですけど、呂布カルマさんは私に札を上げてくださって嬉しかったですね。『高ラ』に出る前は、呂布カルマさんは絶対私のことを嫌いだろうなと思ってたんですよね。

――(笑)。それはなぜ?

KT:呂布カルマさんが一番ラッパーらしいラッパーのような気がしたんですよね。眉毛の角度もすごいし。

――ラッパーらしさは眉毛の角度で決まると(笑)。

KT:(笑)。だからすごく厳しいコメントをされるんじゃないかって思ってたら、温かいコメントをしてくださって本当に嬉しかったですね。長瀬ちゃんもバトル前はすごくピリピリしてたし、全然目を合わせてくれなかったんですよ。でも終わった後は一緒に2ショットを撮ったり、他のラッパーの人たちからも褒めてもらったりして自信がつきました。『戦極vs凱旋 MCBATTLE』もそうなんですが、バトルでは自分の持ってる8小節のあいだに、自分をどれだけ凝縮して出せるかなとか、印象に残ってもらえるかなっていうのは大事なんだなって気づかされたし、それはこれからの活動にも活かしていきたいですね。

自分の中ではラップはポップなものだって感じています

――『高ラ』のラッパー紹介映像の中で語られていましたが、元々芸能活動をされていたそうですね。

KT:小学1年生から6年生まで、子役をしていました。元々、子供の頃から人前で歌ったり踊ったり、目立つことが好きだったんですよね。家でもぬいぐるみを並べてその前で一人でワンマンライブをしたり(笑)。それを見て両親が、子役事務所に入れてくれたのがきっかけです。それでミュージカルやお芝居にも出るようになって。

――表現活動のどんな部分に魅力を感じましたか?

KT:ひとりではできない、集団で作り上げる熱みたいなものをお芝居からは感じていて。そういう風にみんなで話し合ったり、積み重ねていく中で一つのものを形にするというのが好きだったんだと思います。

――お芝居ではどんな役を演じていましたか?

KT:子供の頃から色が白かったので、病人の役がめちゃくちゃ多かったですね(笑)。体が弱くて入院してるとか、松葉杖をついていたり。私自身は明るい元気な子だったんですけど、そういう影があるような役が多かったです。

――「色の白いは七難隠す」といいますが、KTさんの場合はそういう役に繋がったと(笑)。

KT:学校では全然そんなことなかったんですけどね。学級委員や、やんちゃな子がなりがちな体育委員に立候補したり。そういう目立つタイプの子だったと思います。人前に出るという経験は、学校でも活きてたのかなって。

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