NHK連続テレビ小説『らんまん』主題歌、あいみょん「愛の花」のユニークなアプローチ 歌詞から連想する万太郎の物語
“朝ドラ”として親しまれているNHK連続テレビ小説の最新作、『らんまん』が4月3日より放送中だ。神木隆之介が演じる槙野万太郎を主人公とした、長田育恵の脚本によるフィクション。植物をこよなく愛する万太郎が、幕末から明治、大正、昭和の時代をいきいきと駆け抜ける姿を描いている。
万太郎のモデルになったのは、植物学者の牧野富太郎だ。牧野は、新種や新品種など約1500種以上の植物を命名し、日本植物分類学の基礎を築いた一人として知られる人物。小学校中退後、独学で植物学を究め、研究者としての地位を確立したことから“天才”と言われたが、とにかく植物に対する愛情が深く、時には自分の生活を顧みず、熱心に研究に打ち込んだと伝えられている。現在残されている牧野の写真にスーツ姿のものが多いのは、草花へ敬意を表して、正装で植物採集に出かけていたから。「雑草という草はない」という名言を残したと言われていて、生命の多様性を生涯肯定し続けた。
そんな牧野をモデルとし、天真爛漫なキャラクターとして生まれた万太郎を、キャリア27年のベテランながらピュアな雰囲気を持つ神木が好演。服が汚れるのを気にすることなく、地面にしゃがんで草花を覗き込み、嬉しそうに目を輝かせる姿が印象的だ。しかし万太郎は酒蔵の当主であり、“やりたいこと”と“やるべきこと”の間で揺れている様子。今後彼がどのような決断をしていくのかが物語の一つの見どころだろう。
『らんまん』の主題歌に起用されたのは、あいみょんの「愛の花」だ。あいみょんいわく、「ただひたすらに愛する力を持つ、そんな主人公や主人公の奥さんと向き合いながら制作した」という「愛の花」(※1)。ピアノとグロッケンが奏でるメロディから始まる3拍子の曲で、アコースティックギターを中心としたフォーク調のサウンドやあいみょんのボーカルからは温もりが感じられ、万太郎たちの人生を見守っているようであり、同時にここから1日をスタートさせる視聴者一人ひとりの生活にも寄り添ってくれるようだ。ストリングスも華美すぎず、アレンジは全体的にシンプルだが、2番Aメロではリズムを刻むパートの音色が徐々に変化していったりとユニークなアプローチも散見される。