『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編、EDテーマ「コイコガレ」で連想する恋柱=甘露寺蜜璃 milet×MAN WITH A MISSIONの抜群の親和性

 そして『刀鍛冶の里編』のエンディングテーマ「コイコガレ」は曲が始まるとともに明るいギターフレーズが耳に飛び込んでくる。MAN WITH A MISSIONが携わっていることもあり、今までのエンディングテーマよりもさらにロックに振り切ったアレンジ。また、“梶浦語”のコーラスによるラストが新鮮だった「from the edge」に対し、「コイコガレ」では冒頭から英語のコーラスが取り入れられているのも特徴的だ。発音が明瞭で、悲壮感や湿り気を伴わないカラッとした歌声を持つmiletとTokyo Tanakaのボーカルを生かしたアプローチと言えるだろう。

milet×MAN WITH A MISSION「コイコガレ」MUSIC VIDEO(テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 エンディングテーマ)

 そして今回のコラボによって改めて強く感じたのだが、この2人の歌声は親和性が高い。ストリングスの流麗なメロディが“横”のラインを見せる一方、リズムを打ち出すバンドサウンドが“縦”のラインを強調する構成のこの曲において、「リズムに対する感覚が鋭い」「息の初速が速く、打点が明確に見える」という特徴をメインボーカルの2人が共通して持っているのは大きい。特にドラムのキックとボーカルのみになるBメロ前半は、ユニゾンでの歌唱がばっちりとハマっていて気持ちよく、〈しなやかに舞う〉から始まる後半、miletが歌うまさにしなやかなメロディとの対比も鮮やかだ。こういった要素が中毒性を高めている要因のひとつでもあるのであろう。

 「コイコガレ」というタイトルから連想するのは恋柱の蜜璃であり、〈しなやかに舞う君の刃〉というフレーズはもちろん、〈愛し合って笑いたいな/優しいひとたちを全部守りたいな/届くんだ望めばきっと〉といった言葉選びも蜜璃を想ってのものだろう。あえて平易な言葉のみで表現した歌詞は懐が深く、人が人を想う気持ち=恋を原動力にして戦う蜜璃の慈愛に満ちた人柄を思わせる。また、エンディング映像では蜜璃と無一郎をフィーチャー。泣きながら走り去る黒髪の蜜璃と現在の蜜璃を収めたショットに加え、原作にはない蜜璃と無一郎の幼少期シーンもあるということで話題だ。ここからさらに深まっていく『刀鍛冶の里編』の物語を「コイコガレ」とともに堪能したい。

※1 https://realsound.jp/2023/02/post-1250999.html

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