SG5、アメリカ版「New Music Friday」など世界各国のプレイリストで話題に 国内外へファンダムを広げるボーダーレスな歌唱

SG5、世界各国のプレイリストで話題に

 「FIRETRUCK」は、BPMはそれほど速くないが、斬新なビートが効いたトラックが強烈に残る1曲。ヒップホップやトラップの要素が強いが、ファンクのフレイバーが感じられるあたりは、ハドソン・モホークならではといったところか。音数も少なく、ラッパーならば言葉で埋め尽くすだろう余白を、リリックを最小限に抑えることで、余白のまま残しているところも面白い。フロウもメロウネスを大事にしているが、しっかりリズムを刻んでおり、双方のバランス感が独特な味わいになっている。キーも低めに設定されているのか、全体を通して中低音が目立つ。前述したように余白があるゆえ、メインボーカルのアプローチも、フレーズはじめのしゃくりや、遅めのリズムにひきずられるような歌い方、フレーズ終わりにフェードアウトするなど多彩だ。

 特筆すべきは、日本語と英語がミックスされたリリックなのに“発音の差”を感じさせないところである。これは、日本語の部分は、子音を意識して強調していることに起因する。ゆえに語感の差をほとんど感じさせないのだ。BPM、ループされるリズムパターン、キーの設定、フックになるサイレンの音など、ともすればドープで重たい1曲になりそうなのだが、そう感じさせないのは、メインボーカルを務めるRUIの歌い方、そして時折ユニゾンのように入ってくる他の4人のクリアな声質によるところが大きい。ストリート感があり骨太さもあるのだが、しなやかで、どこか上品なのだ。これは間違いなくSG5の大きな個性である。

SG5 - Firetruck (Official Music Video)

 「FIRETRUCK」のMVは、公開から14日間で520万回以上の再生を記録しているほか、同動画のコメント欄への書き込みは2500件(3月16日現在)を超えている。ほとんどが英語圏からのコメントであることに加え、ひとつのコメントに対しての他者からの返信も多く、各国のファンがコメント欄で交流を始めており、すでにファンダムが形成されつつあるところも興味深い。

 メンバーそれぞれのスキルが高いゆえ、今後、どのような振り幅を見せてくれるのか、そして国内でどのように人気が広がっていくのか。いろいろな側面から、今後の展開が非常に楽しみなグループである。

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