ALI、音楽でこそ肯定できる“人生の美しさ” あらゆる制約を飛び越えて熱狂を生み出した『MUSIC WORLD』ファイナル

ALI『MUSIC WORLD』ファイナルレポ

「国籍、性別、肌の色、悲しみ、怒り、すべて飛び越えてあえて言うぜ。音楽は最高だ!」

 2月26日、東京・EX THEATER ROPPONGI。全国7都市を回ってきたALIのツアー『ALI 1st Album Release Tour - MUSIC WORLD-』のアンコールでLEO(Vo)が発した言葉だ。とてつもない実感と希望を込めて放たれたこの言葉が彼らほど似合うバンドはいない。彼らにとって過去最大規模となる会場を埋め尽くしたオーディエンスを前にALIが表現してみせたのは、まさに「すべてを飛び越えて」鳴り響く、音楽の楽しさと美しさそのものだった。

 ステージにCÉSAR(Gt)、LUTHFI(Ba)、そしてサポートメンバーが登場し、彼らのライブのオープニングとしておなじみ「仁義なき戦いのテーマ」を鳴らし始める。そのまま「Dance You, Matilda」につながり、ホーンセクションが華やかにショーの幕開けを告げる。そこに登場したLEOが「トーキョー! ALI、始めます!」と宣言してライブは始まっていった。彼の求めに応じてオーディエンスの手が揺れ、サックスのソロがそこに花を添えた「EL MARIACHI」(リードボーカルは女性コーラスのNadia)で一気にボルテージを上げると、続いては「IN THE MOOD FOR LOVE feat. SARM」。ステージにシンガーのSARMが登場し、LEOと熱いデュエットを繰り広げる。ステージにいる全員が楽しそうに笑顔を浮かべている。なんのお祝いかはわからないが、祝祭とはこういうことだと思えた。

 ステージ上のミュージシャンたちを紹介し「俺たちがALIだ!」と改めて名乗りを上げると、そこからはめくるめく展開。「お前のハートに火をつけに来たぜ!」と繰り出された「VIM」に続き、「SHOW TIME feat. AKLO」ではラッパー・AKLOが参戦して鮮やかなスキルで盛り上げる。勝手知ったるLEOとのコンビネーションも見事で、阿吽の呼吸でマイクをつないでいく。そして温まった空気が一層熱く燃え上がったのが続く「TEENAGE CITY RIOT」だ。マイクスタンドを掴んで歌うLEO。CÉSARのロックンロールなギターソロもクールに決まり、フロアでは拳が突き上げられた。「音楽っていいな! 楽しんでるかい?」。LEOの口調も絶好調そのもの。いよいよALI、全開である。

 山下達郎の楽曲をALI流に料理してみせた「SPARKLE」を楽しそうに披露すると、ここでこのツアーから始めたというMCタイムに(「あまりにも全力でいくもんだからメンバーからクレームが入った」とのこと)。そこではツアーを振り返りつつ、CÉSARにまつわる大阪公演での最高のエピソードが開陳されたのだが、そうした会話の端々からも、このバンドがいかにいいバイブスでつながり音を鳴らしているのかが伝わってくる。「ライブの時間より長く話せるくらい楽しかった」とツアーの感想を口にするLEO。そして2016年の結成から7年をかけて1stアルバムにたどり着いたことを嬉しそうに報告すると、「この先もどうにか生き抜いて、一緒に歳とっていこうな」とオーディエンスに語りかけた。

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