ALI、圧巻のグルーヴで生み出した熱狂 木村昴、R-指定、KAZUOなど盟友との共演も目白押しなツアーファイナルに

ALI、木村昴やR-指定ら盟友と生み出した熱狂

 半年間の活動休止を経て再始動したALI。復帰第1作となるデジタルEP『INGLOURIOUS EASTERN COWBOY』を引っさげて大阪・東京で開催されたワンマンツアー『INGLOURIOUS EASTERN COWBOY TOUR 2022』。Spotify O-EASTでの東京公演は、もともとスケジュールされていた公演に加えて同日に追加公演も行われ、1日2公演という形で開催された。ここではその2回目のライブ(夜公演)をレポートする。

 17時からの1回目の公演と入れ替わりでフロアに足を踏み入れると、なんだか直前まで行われていたライブの熱気がまだ残っているような感じがする。どうやらすごいライブになったらしいぞという感触とともに、これから目撃するショーへの期待も高まる。フロアにはバンドのロゴが入ったTシャツを身につけたファンが溢れかえり、開演を今や遅しと待ち構えている。バンドにとってもさまざまな困難を乗り越えてたどり着いたこのツアーだが、それはファンにとっても同様なのだ。

Leo

 メンバーのCÉSAR(Gt)とLUTHFI(Ba)に加え、ドラムのboboやホーン隊をはじめとするサポートミュージシャン7名がステージに登場し、セッションを始める。鳴らし始めたのは映画『仁義なき戦い』シリーズのメインテーマだ。そこについにLeo(Vo)が登場、スモーキーなムードがクールな「Dance You, Matilda」から気持ちの入ったボーカルを聴かせていく。1日2公演というのはもちろんバンドにとってはタフだが、1回目で十分に体もハートも温まっているのだろう、最初からアクセルはベタ踏みである。歌い終えるとLeoが一言「ALI、始めます」。その言葉にフロアからは大きな拍手が巻き起こる。2曲目「FEELIN’GOOD」では早くもゲストラッパーが登場。ニューヨークで活動するバイリンガルラッパー KAZUO、そしてCreepy NutsのR-指定。ALIとの関係も深い2人が、ステージに現れるなりフロアを煽り立てる。

 凄腕たちが鳴らす生のバンドグルーヴにそれぞれの個性を爆発させる2MCのラップ、そして拳を突き上げて歌うLeoのボーカル。いくつも音や声がぶつかり合い、重なり合い、濃密なバイブスを生み出していく。本来であればここにAKLOも参戦する予定だったが、体調不良のため出演キャンセルに。AKLOとのコラボレーションも観たかったが、それを補うように、ステージにはもうひとり、スーツで決めたガタイのいい男が飛び入りする。Leoの盟友であり、今回のデジタルEPで初めて楽曲をともに作り上げた木村昴だ。さらにテンションが上がるステージ。腕をちぎれんばかりにブンブンと振るLeoのアクションに応えて、オーディエンスも腕を振る。

 そのエネルギーとパワーはここからさらにギアを上げて加速していく。KAZUOとの「KEEP YOUR HEAD UP」、R-指定との「Just Begun」、そしてAKLOがキャンセルになったことを告げ、「本当はライブを観にくるはずだった友達が助っ人になってくれました」とLeoがステージに呼び込んだなみちえとGOMESSとともに披露した「STAYING IN THE GROOVE」など、多彩な楽曲を多彩なゲストとともに鳴らしながら、ALIの音楽的な懐の深さをこれでもかと見せつける。その真ん中で歌うLeoは誰よりも楽しそうだ。バンドの、そしてLeoの根本思想をストレートに楽曲に注いだ「I love music」を経て、ようやくここで一息。ドラム、ベース、ピアノ、そしてトランペット。ミニマルな音像の中で繰り広げられる「FOUND BLUE」が、少しだけメロウな空気を連れてくる。

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