堂村璃羽「自分の曲を聴いて生きたいと思ってくれる人を増やせたら」 1年7カ月ぶりのアルバムで次のステージに
原点回帰の1つとしてリミックスした「共依存」など4曲
――閑話休題。話をアルバムに戻しましょう。「Sorry」をはじめ、『夜景』にはラブソング以外も含まれているとおっしゃっていましたね。
堂村:はい。「共依存」もそうですね。
――「共依存」は恋愛をこじらせてしまう人の歌ですよね。
堂村:「都合いい関係」に近いと思うんですよ。ラブソングと捉える人もいるかもしれないけど、愛と言うよりは、どろどろとした感情……たとえば悲しさ、寂しさ、切なさを歌っているんです。そこは世間が思うラブソングとはかけ離れているのかなと思います。
――その「共依存」を含む過去曲4曲をリミックスしたのはなぜですか?
堂村:「共依存」に関しては、原点回帰の1つとして、1発目に出したEP『Escape』の曲を一番新しいアルバムに持ってくることによって、もう一度、あの時のモチベーションというか、やる気というか、何者でもなれたあの時の記憶を自分の中で取り戻すためにという理由からです。それとシンプルに人気曲だから。人気曲っていうのは、今回リミックスした4曲に共通して言えるんですけど、「溺れ愛」はTikTokで踊ってくれる人が増えていて、リリースから時間が経って再熱している曲なんですよ。オリジナルバージョンは音数が少なかったんですけど、逆におしゃれに彩ることに挑戦したかったので、この機会に試してみました。結果、リミックス前と後では、大きくトラックに差がある楽曲になって、聴き応えあるものになったと思います。新しいリスナーさんにはめっちゃおしゃれで、聴き心地がよくて、気分も高まるような、でも夜にも合うっていうおもしろい楽曲になっていると思います。逆に今まで聴いてくれていたファンの人達にもオリジナルとは打って変わったリミックスを気に入ってもらえる自信があるので、ぜひ聴いてほしいと思って入れました。
――「未練」と「いつか出会う君へ」についても教えていただけますか?
堂村:「未練」は最初作ったとき、僕の中ではボツ曲だったんですよ。ただ、自分の中でボツと思っても、世間ではありになる可能性もあるから、1回出してみるかって出してみたら、2万リツイートぐらいされて。当時はなんでこれがそんなに伸びてるんだろうって訳がわからなくなったんですけど、でも、自分では違うと思っても、出すことに意味があるということをファンの人達に教えられたことによって、自分でも愛したい曲になったので、今回リミックスしました。「いつか出会う君へ」は僕の中では数少ない純愛ソングで、僕自身、シンプルに好きなんですよ。逆にこれはもっと伸びるべき楽曲なんじゃないかなと思ったからこそ入れました。今回リミックスした4曲は、今までのボーカルのままでもよかったんですけど、全曲ちゃんと録り直したので、オリジナルバージョンとはちょっと違って聴こえるところもあって、そこもポイントだと思います。
――「いつか出会う君へ」は、純愛ソングなんですね。堂村さんが歌を歌う理由を改めて歌った、リスナーに対する所信表明なんだと思っていました。
堂村:そういうダブルミーニングとも捉えられるけど、一番大事なのは、いろいろな人が愛する人からこう思われてほしいという純愛を書いたところですね。その中で、僕は音楽を作っているからこそ〈I miss my baby いつも君に伝えるために 僕は歌ってる〉と歌っているんです。もちろん、その〈君〉は自分のことだとリスナーさんには思ってほしい。ただ、ここで歌っているような気持ちを伝えられたら、誰もが喜ぶに違いないし、逆に誰でもこういう気持ちを恋愛相手に抱いてほしいと思ったことがこの曲を書いた時のモチベーションなので、この曲はやっぱりラブソングなんですよ。
――なるほど。
堂村:〈I miss my baby いつも君に伝えるために 僕は歌ってる〉と歌いながら、タイトルが「いつか出会う君へ」になっているのがけっこうミソで。つまり、まだ出会っていない、誰かわからない相手に愛していると歌っているんですけど、愛している人がいるならその人にそう伝えてほしいし、まだいないんだとしても、いつか出会う素敵な人が絶対にいる。そう信じて生きてほしい、そして出会った時にこの曲を思い出してほしいというファンに対するメッセージなんです。
待ってくれていた人達には絶対に喜んでもらえるアルバム
――トラックメイキングについても聞かせてほしいのですが、ギターの音色が多めにフィーチャーされているのは意識的なものなんですか?
堂村:トラックを作るとき、編曲者さんと僕が大事にしているのは、僕の歌が入っていないインストだけでも聴けるかどうかということ。プラス、イントロがコードだけだと、歌にたどり着くまでに飽きる人もいるかもしれない。でも、いいメロディが楽器の音色で鳴っていたら、誰もが「おっ、いい曲かも」って期待すると思うんです。そこを狙って、リード楽器を取り入れたトラックになっていることが多いですね。
――その中でもリード楽器にギターが多くなるのは、なぜなんでしょうか?
堂村:好きなんですよね、ギターの音色がシンプルに(笑)。ギターのほうが心地いいんです。鍵盤が心地よくないわけじゃないんですけど、ギターのほうがより近くに感じられるというか。アコースティックギターとピアノだったら、アコギのほうがすぐに手に取って弾けるし、いろいろなところに持っていけるけど、ピアノってなると、なかなかそうはいかないじゃないですか。この曲達がどんどん伸びて、いろいろな人に知られるようになったら誰かに歌ってほしいと思うし、そのメロディだけギターで弾いても、気持ちよくいろいろな人が聴けるというのは、1つ理想としてありますね。
――そのうち、どこかの駅前や路上で『夜景』に入っている曲をギターで弾き語りする人が現れるかもしれないですね。
堂村:そんな人がいたら、投げ銭したいですね(笑)。
――さて、いろいろお話を聞かせてもらいましたが、『夜景』と題したアルバムを完成させて、どんな手応えがありますか?
堂村:正直、ちょっと怖いところはありますよ。やっぱり一気に10曲を出すから、1曲1曲ちゃんと愛されるかなって。でも2023年のスタートで、一月からいきなり10曲入りのアルバムを出すっていうのは、待ってくれていた人達には絶対に喜んでもらえると思うんですよ。挑戦だとも思うし、ワクワクはしてますね。みんなが好きになるようなキャッチーなメロディと、めちゃめちゃこだわった歌詞があって、しかもどの1行も素敵な歌詞になっているので、歌詞を意識して耳を傾けてほしいと思います。
――先ほどラブソングは堂村さんにとって、どんなアウトプットですかと質問しましたが、恋愛って人間のいろいろな感情を描けるじゃないですか。そういう意味でも、歌詞を書いていておもしろいというところもあるんじゃないですか?
堂村:ありますね。いろいろな人に憑依して、いろいろなシチュエーションを妄想の中で体験して、それを音楽の中で文字に起こして、それと同じ境遇の人が共感してくれたら、やっていることは間違ってなかったと証明されるわけじゃないですか。だから、リリースして反応を見るまでがセットで楽しいです。
――そう言えば、「共依存」のYouTubeのコメント欄に「こういう曲を考えつくのがすごい。そういうことを経験しているからかもしれないけど」ってありましたけど(笑)。
堂村:(笑)。そんなことないですけどね。これも憑依ですよ。
――きっと憑依したとき、その人物に感情移入しているんでしょうね。
堂村:めっちゃします。『夜景』に収録した「長年付き合っていた恋人と別れる歌」もそうだし、過去曲で言えば「AM5:00」もそうだし、それこそ「共依存」は、「私、恋愛がマジ、ヘタクソで」って言っていた共依存気質の知り合いから「こういう曲を作って」って言われて、「よし、作ったるわ」って作った曲なんですよ。
――そこでその人にインタビューするんですか?
堂村:いや、しないです。その人がそれをひきずっているかどうかはわからないけど、確実に痛みの部分ではあるから、根掘り葉掘り聞いたら辛いと思うんですよ。だから、「俺の妄想で作るから間違ってる部分があったらごめんね。でも、真剣に作るから」って。そこは自分で嚙み砕いて作りますね。
大きな舞台でみんなと喜びを分かち合いたい
――最後に、今後の活動について聞かせてください。これから2カ月に1回のペースでシングルをリリースしていこうと考えているそうですね?
堂村:そうですね。でも、変わる可能性が高いですね。もっと出すと思います。
――あ、リリースが増えるほうに変わるわけですね(笑)。
堂村:減ることはないかな。2カ月に1回なんて我慢できないですよ(笑)。それははマネージャーさんと話し合ってモチベーションを維持するためとか、自分を見失わないために決めたペースであって、増やす分には全然OKと言われているので。メジャーアーティストとは思えないぐらいフリーランスっぽく立ち回って、リリースを増やして、まだ自分が作れていないようなシチュエーションの楽曲を、恋愛にかかわらずどんどん作っていって、自分の楽曲に共感して、それを聴いて生きたいと思ってくれる人をもっともっと増やせたらいいなと思っています。
――Twitterに投稿していた動画で、「大きな舞台に立つ姿を見てほしい」とおっしゃっていましたが、大きな舞台というのは活動の広がり方のことを言っているんですか?
堂村:というよりは、ライブ会場ですね。ライブをずっとしてこなかったので。去年はやっと何回かできたんですけど、今年は夏にツアーも考えていて、しかも北海道から沖縄までの4つか5つぐらいの都市でやろうと思っているんですよ、それを機にライブを通じてオフラインでファンとのコネクションを強く作って、現場も今年から動かしていこうと思っています。なので、大きな舞台というのは、物理的な意味ですね。これからライブをやっていって、いつか想像もできなかった大きな舞台に立って、みんなと喜びを分かち合えたらいいなと考えています。
■リリース情報
5thアルバム『夜景』
2023年1月30日(月)
配信:https://riudomura.lnk.to/yakei
01 Prima Stella
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽、TDrive
02 Romantic
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽、Mitsuki
03 長年付き合っていた恋人と別れる歌
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、BigDogOof
04 君が愛を知りたいと言ったから
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、BigDogOof
05 Memory
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽 、BigDogOof
06 Sorry
Lyric,Music : 堂村璃羽
07 共依存 Remix( 2019.5.4 Release 楽曲をセルフカバー)
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽、Mitsuki
08 溺れ愛 Remix( 2020.12.25 Release 楽曲をセルフカバー)
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽、Mitsuki
09 未練 Remix( 2019.10.26 Release 楽曲をセルフカバー)
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽、Mitsuki
10 いつか出会う君へ Remix( 2020.3.25 Release 楽曲をセルフカバー)
Lyric : 堂村璃羽 Music:堂村璃羽、Mitsuki
■関連リンク
堂村璃羽 Official Twitter:https://twitter.com/Dboy0112
堂村璃羽 Official Instagram:https://www.instagram.com/dboy0112/
堂村璃羽 Official YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCBJXdxs0Dq6UWhgApYMajiQ
堂村璃羽 Official TikTok:https://www.tiktok.com/@dboy0112