Mrs. GREEN APPLE、マカロニえんぴつ、Saucy Dog、sumika……シーンを牽引する結成10周年バンドの共通点

 この4組の共通点といえば、それぞれのスタイルで、間口の広いポップミュージックを志向していることだろうか。Mrs. GREEN APPLEは“ロックバンド”という枠組みに囚われない音楽性を提示してきたバンドで、いわゆるギターロックだけではなく様々なジャンルの音楽に果敢に挑戦している。それはパフォーマンスについても同様で、近年ではライブやMVでダンスを披露することもある。マカロニえんぴつの楽曲といえば、転調やテンポの変化を盛り込んだ、まるで組曲のような展開が特徴的。ポップでありつつもエッジの効いた音楽を奏でるバンドであり、音大出身ならではのインテリジェンスや、はっとり(Vo/Gt)の尊敬するユニコーンからの影響が感じられる。Saucy Dogの楽曲から感じられるのは、3ピースサウンドに対する強いこだわりだ。コロナ禍も相まって2020年以降は打ち込みを取り入れたアレンジに挑戦する国内バンドも増えつつあるが、Saucy Dogは現状そういった方向性に踏み出していない。昨年のアリーナツアーでストリングス&ピアノ入りの編成にトライしたものの、あくまで電子サウンドは取り入れず、歌とバンドの温かさを届けようとしている印象がある。ボーカル&ギター、ギター、ドラム、キーボードという編成のsumikaは、ゲストメンバーを迎え入れながら制作やライブを行っているが、都度異なるメンバーとともに音楽を鳴らし、奔放なアイデアを音楽に結びつけるのが彼らのスタイルだ。最新作『For.』の1曲目「New World」はUKロック調のナンバーで、パブリックイメージから飛び出していくような意気が感じられる。

 今現在の彼らの音楽性、活動スタイルは苦しい時期も喜びの時期も経験した10年の中で掴んだもので、アニバーサリーとは、今日まで歩いてこられたことを祝うための時間だ。4組それぞれの歩みを讃えるとともに、バンドとファンが楽しい時間を過ごせることを願って、本稿を締めくくりたい。

※1 http://sumika.info/tentotento10live/
※2 https://natalie.mu/music/pp/sumika13
※3 https://realsound.jp/book/2022/07/post-1067350.html

Mrs. GREEN APPLE、温かい空気の中で見せた伸びやかな姿 10周年への期待高まる『ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~』

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