マカロニえんぴつ、10周年締めくくるツアーファイナル 「ロックバンドは最高だ」さいたまスーパーアリーナに響かせた4人の歌
1月7日、8日の2日間にわたり、マカロニえんぴつの全国ツアー『マカロックツアーvol.14 ~10周年締めくくり秋・冬ツアー☆飽きがくる程そばにいて篇~』のさいたまスーパーアリーナ公演が行われた。バンド結成10周年イヤーを締めくくる同ツアーを通して、ファンとの絆を確かめ合いながら、自分たちの歌とロックサウンドを絶えず懸命に磨き上げ続けてきた4人は、ついにこの日、バンド史上最大規模となる会場へと辿り着いた。この記事では、生配信も実施された8日のツアーファイナル公演について振り返っていく。
この日のライブは、マカロニえんぴつの所信表明ナンバー「トリコになれ」から幕を開けた。ライブ冒頭とは思えないほどの熱量で渾身のシャウトを轟かせるはっとり(Vo/Gt)。彼の気合いに応えるように熾烈なロックサウンドを打ち鳴らしていく高野賢也(Ba/Cho)、田辺由明(Gt/Cho)、長谷川大喜(Key/Cho)、そして4人を力強く後方支援するサポートの高浦“suzzy”充孝(Dr)。1曲目の時点で確認できたのは巨大な紗幕に投影されたシルエットのみであったが、2曲目「洗濯機と君とラヂオ」が始まるタイミングで紗幕が下り、満を持してメンバーが姿を現した。はっとりは、〈この恋が この恋が この夜が/ずっと前から僕らを/待っていた、待っていたんだ〉という歌詞の後半を〈待っていましたか?〉と替えて歌い、その問いかけにフロアから熱い拍手が巻き起こる。とても粋なオープニングに、ライブ序盤から一気に心を掴まれる。
この日初めてのMCパートで、はっとりは、今回の結成10周年を祝したツアーを通して、自分たちはもう十分すぎるほどに祝われ尽くしたと振り返った上で、だからこそ今日は、この10年で出会えた人たちに向けて感謝の気持ちを伝えたいと語った。そして、「ここが私のたましいの居場所だ、そう思ってもらえるように努めます」という言葉を添えて、新たな代表曲「たましいの居場所」へ。終盤の〈思い出泳いで いまさら会いに行く〉という言葉に、はっとりの並々ならぬ熱量が滲んでいて、その気迫に圧倒されてしまった。また、続けて披露した「MUSIC」には〈夢を持ったあなたには きっと届く、あなたには/グッドミュージック〉という一節がある。約5年前にリリースされたこの歌が、こうして超満員のさいたまスーパーアリーナで響きわたる光景に思わず胸が熱くなった。
メンバー紹介に続くMCパートでは、閉店してしまった中華料理屋「王チャン」への愛を伝えるミニコントが展開。そして中華風の衣装への早着替えを経て、遊び心に満ちたハードロックナンバー「街中華☆超愛」へ。遊び心に満ちた、と表現したが、その遊びをロックバンドとして全力で突き詰めてみせるのがマカロニえんぴつというバンドであり、次々と繰り出される激情のハードロックサウンドからは、4人の本気がひしひしと伝わってくる。何より、全力でロックバンドの楽しさを謳歌するメンバーたちの喜びに溢れた笑顔が忘れられない。
中盤のハイライトを担ったのは、壮大なロックオペラのようなセッションを経て披露された「ブルーベリー・ナイツ」だ。直前までの熾烈なセッションとは一転して、軽やかなポップフィーリングを放つ同曲へと流れていく展開が見事で、こうした鮮やかなコントラストがもたらすスリルや快感を味わえるのは、マカロニえんぴつのライブにおける大きな醍醐味だと改めて感じた。