Mrs. GREEN APPLE、マカロニえんぴつ、Saucy Dog、sumika……シーンを牽引する結成10周年バンドの共通点

 バンドの結成日とは、私たちで言う誕生日のようなものだ。誰かの誕生日を祝うとこちらまでつい嬉しい気持ちになってしまうし、バンドのアニバーサリーは結成日当日に限らず、お祝いムードがしばらく続くからめでたいし楽しい。ここでは、2023年に結成10周年のアニバーサリーを迎える(迎えた)4バンドをピックアップする。

 1組目はMrs. GREEN APPLE。2013年に結成、2015年メジャーデビューした彼らは、2020年7月に活動休止を発表するも、2022年3月に活動を再開。そして今年の7月8日に結成10周年を迎える。そんな彼らは昨年末に全国ツアーを終えたばかりで、昨年11月に発表した、映画『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌を表題曲としたシングル『Soranji』が最新作にあたる。Mrs. GREEN APPLEは活動休止中も曲がたくさん聴かれ、新しいファンを増やしていたが、昨年5月にリリースされた「ダンスホール」、映画『ONE PIECE FILM RED』挿入歌としてウタ(Ado)に提供した「私は最強」のセルフカバー(シングル『Soranji』に収録)が現在ロングヒット中。活動再開後の新曲でもミセス旋風を起こしている真っ最中だ。2023年の活動としては、「4年ぶりのフルアルバムのリリース」「7年ぶりの対バンライブ開催」「3年半ぶりのアリーナツアー開催」という3つのニュースをすでに発表済み。しかしそれらは第一報らしく、続報にも期待が高まる。

Mrs. GREEN APPLE「ダンスホール」Official Music Video
Mrs. GREEN APPLE「Soranji」Official Music Video

 2012年春に洗足学園音楽大学内で結成されたマカロニえんぴつは、初の日本武道館公演を行った2022年2月15日・16日から、初のさいたまスーパーアリーナ公演を行った2023年1月7日・8日までをアニバーサリーとし、ファンとともに祝った。その間、全国ツアーを2本まわったほか、EP1作、配信シングル2作、初のライブ映像集とリリースも盛りだくさん。さらに歌詞集に続けて2023年2月には初のクロニクル本を刊行予定。秘蔵アイテムを展示する展覧会を開催するなど、多角的な楽しみを提供してくれた。そんな彼らといえば、2021年11月に発表した「なんでもないよ、」がストリーミング累計再生数3億回超えを記録。2022年を代表する曲といっても過言ではないヒットを生み出すと、『第64回日本レコード大賞』優秀作品賞を受賞した。今年に入ってからは1月14日に「リンジュー・ラヴ」を配信リリース。ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系)の主題歌として書き下ろしたバラードだが、今後バンドの代表曲になっていきそうな予感のする名曲だ。また、「リンジュー・ラヴ」も含むEP『wheel of life』を3月にリリース予定で、4月からはワンマン&対バンツアーがスタート。次の10年に向けた歩みが始まろうとしている。

マカロニえんぴつ「なんでもないよ、」MV
マカロニえんぴつ - リンジュー・ラヴ / THE FIRST TAKE

 「なんでもないよ、」とともに連想する2021〜2022年を代表するバンドソングといえばSaucy Dogの「シンデレラボーイ」だろう。そんなSaucy Dogの結成は2013年で、今年の11月16日に結成10周年を迎える。2016年に秋澤和貴(Ba)、せとゆいか(Dr/Cho)が加入するまでの間には石原慎也(Vo/Gt)一人になった時代もあったが、それでもバンド名を掲げ続けて10年。現在に至るまで着実に支持を広げ続け、2021年2月に初の日本武道館公演を、2022年6月にアリーナツアーを経験している。そんななか、2021年8月に発表した「シンデレラボーイ」がロングヒット。2022年末には『第73回NHK紅白歌合戦』に初出演し、同曲を披露した。今年2月1日配信予定の新曲「怪物たちよ」は映画『スクロール』の主題歌だが、ここ1~2年はタイアップ曲を手掛ける機会が続いていて、「シンデレラボーイ」をきっかけに石原のソングライティング力や3人の醸すバンドのイメージがさらに高く評価されるようになった印象がある。結成日は11月とまだ先ということもあり、アニバーサリーにまつわる情報は発表されていないが、充実の季節の中で10周年を迎えることになるだろう。

Saucy Dog「シンデレラボーイ」Music Video <5th Mini Album「レイジーサンデー」2021.8.25 Release>
Saucy Dog「いつか」MUSIC VIDEO

 前身バンドでの活動を経て2013年5月に結成されたsumikaは、今年5月に結成10周年を迎える。2015年には片岡健太(Vo/Gt)の声が出なくなるなど困難もあったが、その経験から生まれた「Lovers」はバンドの代名詞的な1曲に。その後もカラフルな楽曲をリリースし、多くのリスナーから愛される存在になっていった。今は、10周年を記念する全国ツアーの真っ最中。ライブ活動を継続的に行うなか、フルアルバム1作、シングル1作を発表し、片岡は初のエッセイ本『凡者の合奏』を書き上げた。今年3月にはアコースティック編成sumika[camp session]名義でのミニアルバム『Sugar Salt Pepper Green』をリリースし、ビルボードでリリースパーティーを開催予定。5月14日の横浜スタジアム公演で10年目のアニバーサリーが締めくくられる。横浜スタジアム公演特設ページのメンバーコメント(※1)やアルバム『For.』リリース時のインタビュー(※2)、『凡者の合奏』刊行時の片岡のインタビュー(※3)によると、メンバーは一旦「終わらせる」「ここで一つ区切りをつける」という意識で過ごしているとのこと。だからこそアニバーサリーを終えたあとの新しい“始まり”も楽しみだ。

sumika / Lovers【Music Video】
sumika[camp session]Live / アネモネ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる