back number、坂本龍一、倖田來未、Novel Core、SawanoHiroyuki[nZk]…1月17・18日リリース新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は1月17日リリースのback number『ユーモア』、坂本龍一『12』、1月18日リリースの倖田來未『WINGS』、Novel Core『iCoN』、SawanoHiroyuki[nZk]『V』の5作品をピックアップした。(編集部)

back number『ユーモア』

 昨年9月、back numberの全国アリーナツアー『back number “SCENT OF HUMOR TOUR 2022″』の幕張メッセ公演を観た時、“ユーモア”という言葉には、このバンドの本質が色濃く表れていると感じた。リスナーの背中を力強く押す応援歌も、抑えきれない恋心を優しく肯定するラブソングも、その全てに清水依与吏(Vo/Gt)が紡ぐ温かな“ユーモア”に満ちた言葉が溢れている。そして、その言葉をタイトルに冠した4年ぶりのアルバムは、前作『MAGIC』における音楽的冒険を経て、今一度back numberの王道を闊歩するような、つまり“ユーモア”を通してリスナーの日々の生活を鮮やかに彩るようなストレートな作品となった。毎日の朝にそっと寄り添う「アイラブユー」(NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』主題歌)が象徴的なように、各楽曲が誇る包容力や肯定性は、これまでの作品の中でも突出している。何より、コロナ禍において数え切れない人の人生を照らし続けてきた「水平線」が今作のラストに位置づけられたことで、同曲は時代を超えて響き得る普遍性を獲得している。国民的ロックバンドとして、一人ひとりのリスナーからの期待に真正面から見事に応えた感動的な作品である。(松本)

back number - アイラブユー (NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』主題歌)

坂本龍一『12』

 2022年12月21日にピアノソロコンサート『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022』を配信。「Merry Christmas Mr. Lawrence」「Tong Poo」などの代表曲を研ぎ澄まされたアレンジと演奏で披露し、世界中の音楽ファンの賞賛を集めた坂本龍一から、ニューアルバム『12』が届けられた。2017年発表の『async』以来、約6年ぶりのオリジナルアルバムとなる本作は、2021年に受けたガンの手術後、日記を書くように制作された12曲を収録。坂本自身の心の動きと日常の風景をスケッチするように描かれた12曲は、ほとんどがピアノとシンセサイザーで構成されている。きわめてシンプルでありながら、その奥には一流の構築美と創造性、そして、印象派クラシック、現代音楽、エレクトロニカ、ノイズなどを含んだ豊かな背景が感じられる。坂本龍一の音楽の極北と称すべき、素晴らしい作品だ。(森)

倖田來未『WINGS』

 昨年12月にデビュー22周年を迎えた倖田來未の新作『WINGS』は、楽曲とライブ映像をコンパイルした作品。タイトルチューン「Wings」には、彼女のパートナーでもあるHi-yunk(BACK-ON)が制作に参加。ロック、R&B、エレクトロが融合したサウンドとともに、愛する人と生きる決意を響かせるバラードナンバーに仕上がっている。

 さらにオリックス・バファローズの黒木優太投手の登場曲として話題を集めたエキゾチックなヒップホップチューン「It's “K” magic」、ドラマ『我らがパラダイス』(NHK BSプレミアム・BS4K)主題歌に起用された切なくも愛らしいミディアムナンバー「Hello Yesterday」などバラエティに富んだ6曲を収録。通常盤のDVD・Blu-rayには、自身初のフルオーケストラ公演『billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022』の映像が収められている。(森)

倖田來未-KODA KUMI-『Wings』

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