南條愛乃、様々な出会いと支えの中で迎えられたソロデビュー10周年 「今はみんなと一緒に歩いている長い旅の途中」

南條愛乃、10年の旅で辿り着いた場所

 南條愛乃が、ソロデビュー10周年記念アルバム『ジャーニーズ・トランク』とMV集『ジャーニーズ・トランク ~Memorial Music Clips~』を12月21日にリリースした。

南條愛乃】5th ALBUM「ジャーニーズ・トランク」試聴クロスフェード

 『ジャーニーズ・トランク』というタイトルの通り、今作のコンセプトは“旅”。南條愛乃自身が音楽活動を通して歩んできた旅はもちろん、参加したクリエイターたちが積み重ねてきた“人生の旅”も含まれた、全13曲中11曲が新録となる濃密な作品となった。

 南條愛乃は2012年のソロデビューから10年の旅を経てどんな場所に辿り着き、そしてどこへ向かって11年目の一歩を踏み出しすのだろうか。『ジャーニーズ・トランク』に込められた想いについて話を聞いた。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】

いろんな面で今が最適解だと思っている

ーー南條さんは12月12日でソロデビュー10周年を迎えたばかり。ここ最近は10周年に向けていろんな企画で盛り上げてきたので、意識する瞬間もたくさんあったと思います。

南條愛乃(以下、南條):デビューミニアルバム『カタルモア』でソロ活動を始めたときは、正直10年やれるのかわからなくて。仮に10年続けられたとしても、当時すでに28歳だったので、「早く始めないと。10年経ったら38歳になっちゃう」みたいな感じだったんです。だから、ちょっとネガティブな感情もあったんですけど、いざ10年経ってみて、まず10周年を迎えられてよかったなというのと、10年前は体力面とかもろもろで思うように活動できているのかなとか不安もあったんですけど、今は昔より元気なような気もするし(笑)。むしろ「この状態で10周年を迎えられてよかった」と、10年前の自分に伝えてあげたいです。

ーー南條さんの場合、ソロ活動のみならず、声優のお仕事や参加コンテンツに関わるいろんな活動、さらにfripSideとしての活動もあり、濃密な10年でしたよね。

南條:そうなんですよね(笑)。ソロ1本でやっていたらもっと違った今があったのかなと思うこともあるし、逆にソロ1本だったらここまで続けられなかったかもしれない。fripSide以外にも、歌のコンテンツでは『ラブライブ!』や今年10周年を迎えた『(戦姫絶唱)シンフォギア』などもありましたし、そういった活動の中でもこのソロワークを主に応援してくれている方もいるわけで、それはすごくありがたいことだなと思うし、いろんな面で今が最適解だと思っています。

ーーそういった経験が、特に今回の10周年記念アルバム『ジャーニーズ・トランク』には端的に表れていると思っていて。正直、今までのアルバムの中でもっともカラフルじゃないかなと感じました。

南條:そう言っていただけるとありがたいです。いろんなタイプの楽曲に触れる機会が多かったので、例えばfripSideに行ったらデジタルサウンド、キャラソンだったら可愛い曲やちょっと変わった曲とか、それぞれの場所に行かないと聴けない曲というのがあったと思うんですけど、ソロはそれが全部聴ける場所になるといいなというところからスタートしたんです。今回のアルバムを「すごくカラフル」と言ってくださいましたけど、これまでの10年における、いわゆる南條ソロっぽい曲と、11年目以降もいろんなタイプの楽曲もやっていきたいという希望も込めて、今までやってこなかったような楽曲も入ってくると面白いのかなという話を、制作前の打ち合わせ段階で言っていたので、まさに狙いどおりですね(笑)。

“旅”には「人生の旅」という意味も含まれている

ーー前作『A Tiny Winter Story』が統一感の強い作風だったので、そこがより色濃く表れています。

南條:特に今回は「旅」「旅の途中」というコンセプトがもたらしたものも大きくて。前作のテーマでもある「冬」はある程度イメージが共通していると思うんですけど、旅は人によってイメージや、旅の仕方も全然違う。しかも、その旅には「人生の旅」という意味も含まれていると思うんです。私のアルバムっていつも楽曲制作をお願いする作家さんに、よく言えばお任せ、悪く言えば丸投げなんですけど(笑)、今回はそういった色が歌詞からにじみ出ていて、それがカラフルさにもつながっているんじゃないかと思います。

ーーこれだけ幅広いタイプの楽曲が揃っていながら、アルバムは全体を通して起承転結がはっきりした流れなんですよね。

南條:ありがとうございます。曲順は一番悩んだかもしれません。でも、最終的には「この曲はここにしか入りようがないな」っていう感じで、綺麗に揃いました。

ーーソングライター陣も非常にバラエティ豊かな人選ですよね。

南條:今回、作家さんの指定をしていないのが4曲目の「シンプル」、10曲目の「ヨルゴト」だけかな。あとは作曲さん指名で。あ、3曲目の丸山(真由子)さんの曲「雨音と潮騒」もコンペでしたね。

ーーそうだったんですね。やっぱり10周年ということもあり、今まで関わってきた人ともう一度という思いもあったんですか?

南條:そうですね。今まで南條楽曲で馴染みのない方も候補で上がったりはしたんですけど、聴いているお客さん的には顔を知っているわけではないけど「あの曲の方か」と思い浮かぶほうが、10周年として考えたときに面白いのかなと。あと、過去に関わってもらったことがある方にもお願いしたいなと思って、未知瑠さんと、あと橋本(由香利)さんにもお声がけして。でも、橋本さんはスケジュールが合わず、既存曲の「ヒトリとキミと」のみになりました。それこそ、桑島(由一)さんも今回はタイミングが合わなかったので、また次の機会でご一緒できたらいいなと思っています。

ーーそのアルバムで、南條さんは作詞においてタイトルトラック「ジャーニーズ・トランク」1曲のみにとどまっています。

南條:本当は3曲ぐらい書きたかったんですけど、制作スケジュールの都合でどうしても間に合わなくて。結果的に「ジャーニーズ・トランク」のみでしたが、唯一書いているのがこれまでとこれからを歌っているものなので、アルバムコンセプトになるもののみ自分で書くのもアリかなと。

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