連載「lit!」第25回:INI、Da-iCE、8LOOM、超特急、OWV……群雄割拠のシーンで新たな一手を打つボーイズグループたち

 日本のボーイズグループは近年、“戦国時代”と称される新時代へ移行しつつある。2010年頃のいわゆる「アイドル戦国時代」と一線を画すのは、一過性のブームにとどまらず、昨今の音楽チャートに見られるような安定した存在感を提示し続けるグループの興隆だ。数々のサバイバルオーディション番組などから誕生した実力あるグループが、個の色を輝かせつつ、飽きさせない試みを仕掛けながら日々音楽シーンを彩っている。今回は、10月以降にリリースされた中から以下の5曲をご紹介する。

INI「HERO」

INI | 'HERO' @ WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2022

 まずは、11人組ボーイズグループ・INIの最新曲「HERO」。ドラマ『コンビニ★ヒーローズ~あなたのSOS、いただきました!!~』(関西テレビ、BSフジ)の主題歌である本楽曲は、INIがパーソナリティーを務めるラジオ番組『From INI』(TOKYO FM)への出演等、さまざまな場面で交流のあるWANIMAが提供している。グループ初のバンドサウンドがリズミカルで耳に残る立体的なメロディを際立たせ、明日に繋がるパワーを感じるアッパーチューンとなっている。9月3日にはWANIMA初主催フェス『WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2022』で初の野外フェス出演を果たし、普段とはひと味違った姿を見せて鮮烈な印象を残した。魂のこもった力強い歌声がINIのパブリックイメージに新たな色を染め、音楽的可能性を一層感じるきっかけになったのではないだろうか。

Da-iCE「Answers」

Da-iCE / 「Answers」Lyric Video

 昨年、「CITRUS」で日本レコード大賞を受賞し、その豊富な経験値と実力でダンス&ボーカルの水準を高め続けているDa-iCE。ピックアップするのは、水ドラ25『キス×kiss×キス〜メルティングナイト〜』(テレビ東京)のエンディング主題歌「Answers」だ。答えを求めるほどに見失う恋愛の理を無理数とされる円周率に見立てたこの曲は、紆余曲折ありながらも互いに惹かれ続ける“幸せ”を描いた歌詞に加え、味わい深く丸い音粒が特徴の大野雄大と、音の輪郭を丁寧にはっきりと縁取る花村想太のメロディアスな歌声が際立つラブソングに仕上がっている。〈嫌なとこさえ/愛しさに変える方程式〉というように、一筋縄にいかない瞬間さえも幸せに変換できてしまう恋心が多くのリスナーの共感を呼ぶことだろう。心を包んで溶かしていくメロウなギターの音色が恋のあたたかさを感じさせ、心地よい“Da-iCEサウンド”にリスナーを引き込んでいる。

8LOOM「君の花になる」

8LOOM 「君の花になる」OFFICIAL MV [ENG/KOR/CHN SUB] 【TBS】

 短期間でコンセプチュアルな活動を行うグループの活躍もめざましい。ドラマ『君の花になる』(TBS系)発・期間限定ボーイズグループ8LOOMの2ndシングル曲「君の花になる」は、「みんな、誰かの“花”、誰かの“力”になれる」というメッセージが込められた、ドラマのメインテーマだ。サビで花が開くように広がる音色が聴く人の背中を押すのはもちろん、メンバー同士が確かな絆を築いている様子や〈そう君とならどこへでも行こう〉〈紡いできた物語をいつだって君と見たいのさ〉という歌詞からも、大切な仲間やファン=“君”に贈る曲であると受け取ることができる。ダンス未経験のメンバー・綱啓永(古町有起哉役)も「(活動を通じての)一番の変化は、8LOOMへの愛が強くなったこと」(※1)と俳優やアーティストなどの垣根を超えた7人の深い関係性を覗かせており、期間限定であることを惜しむ声が多いのも納得だ。

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