Migos、ヒップホップのフロウやリリックに与えた多大な影響 若くして急逝した、才能豊かな最年少・テイクオフの功績

 2013年に「Versace」がヒットし、2016年の「Bad and Boujee feat. Lil Uzi Vert」で全米1位を獲得したアトランタ出身のヒップホップトリオ、Migos(ミーゴス)。血縁関係にあるクエイヴォ、オフセット、そしてテイクオフの3人からなるグループであり、現代のヒップホップを語る上で欠かせない存在である。そんなMigosの最年少メンバー・テイクオフが、11月1日に銃撃され、28歳にして亡くなった。

 Migosがヒップホップのトレンドに与えた影響は計り知れず、彼らの登場によってラップのサウンドが変わったと言っても過言ではない。2008年に結成されたMigosは、2011年に初のミックステープ『Juug Season』、そして2013年に『No Label』をリリースした。ヒップホップサウンドにおけるトレンドの中心地・アトランタのレジェンドであり、トラップを語る上で欠かせないグッチ・メインが、レーベル<Quality Control>の創業者ピエール・トーマス(通称:“P”)にMigosの音楽を聴かせたことにより、同レーベル初の所属アーティストとして契約することになる。

Migos - Versace (Official Video)

 彼らにとってブレイクスルーとなったのが、前述した「Versace」であり、ラップにおけるフロウやカデンスを変えた楽曲の一つと言ってもいいだろう。Migosは現代のラップにおける三連符を駆使したフロウを広めた存在であり、多くのラッパーたちに影響を与えている。特にトラップの曲ではハイハットが三連符を刻んでいることが多いが、そのハイハットとの連動がリズミカルでキャッチーなフロウを生み出した。

 三連符のフロウをラップに組み込んだのはMigosが初ではなく、以前からThree 6 Mafiaや8Ball & MJGなどメンフィスのグループが三連符ラップを披露していたが、近年ではMigosのシグネチャースタイルとして一般的に広まった。このフロウは「Versaceフロウ」や「Migosフロウ」と呼ばれるようになり、ヒップホップの定番フロウとして根づくようになる。スーパースターであるドレイクが「Versace」のリミックスに参加した際も、Migosのフロウに合わせ三連符でラップをしていた。それまでのトラップで多かった大きく構えるフロウとは違い、スタッカートで繰り出される細かいジャブのような三連符は一世を風靡した。

How the triplet flow took over rap

 Migosは三連符のフロウを流行らせただけではなく、リリックで使われる言葉、発音やアクセントまで、ヒップホップのイメージをガラッと変えるほどの影響を与えたと言っても過言ではない。Billboardは、「ノース・アトランタのルーツをメインストリームに持ってくることにより、ポップカルチャーだけではなく英語という言語全体に大きな影響を与えた」(※1/筆者訳)と、ポップカルチャーにおけるMigosの影響の大きさを称賛した。

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