Migos、ヒップホップのフロウやリリックに与えた多大な影響 若くして急逝した、才能豊かな最年少・テイクオフの功績
Migosの3人のなかでも、特にテイクオフのラップスキルは世間的には過小評価されていると感じる。メロディやキャッチーなフレーズ作りが得意なクエイヴォ、全米1位を獲得した「Bad and Boujee feat. Lil Uzi Vert」のサビも担当し、溢れ出る自信でスター性を出していたオフセットに比べ、メディアへの露出が少なかったテイクオフ。しかし彼はラップのスキルでは最も輝いていたと言える。三連符を使用しつつもフロウに変化を加え、言葉遊びとライムスキームで魅せるスタイルはラップファンの間では高く評価されていた。もちろん楽曲のなかでも彼のラップスキルを聴くことができるが、ラジオに出演した際のフリースタイルを見るとそのスキルがわかりやすく伝わってくるだろう。
実際にクエイヴォは「テイクオフがMigosで一番上手い」(※2/筆者訳)と語っており、“P”は初めてMigosを聴いたときの印象をこのように語っている。
「グッチ・メインが曲のビデオを送ってくれた。それを見て『この長いドレッドのやつすごいな』と思った。それがテイクオフだった。彼は昔のBone Thugs-N-Harmonyを彷彿とさせるようなラップをしていた」(※3/筆者訳)
「Bad and Boujee」ではテイクオフのバースはなく、その代わりにリル・ウージー・ヴァートが参加した。2017年にリリースされたアルバム『Culture』は全米1位を獲得し、グラミー賞「最優秀ラップ・アルバム」にもノミネート。メロディックな方向性の楽曲でも、テイクオフがスピーディなラップとクレバーなライムでラップグループとしての土台を支えた。翌年にリリースされた『Culture II』も全米1位となり、2018年のソロアルバム『The Last Rocket』は数々のメディアから高く評価され、2022年10月にはクエイヴォとのアルバム『Only Built For Infinity Links』をリリース。近年の動画のコメント欄でもテイクオフのラップを絶賛しているコメントが多いことがわかるだろう。『Drink Champs』のインタビューに出演した際にも、彼は「いい加減にしろ。俺はレイドバックで落ち着いているけど、マジで跳ねさせる。俺が適切に評価されるときがきた。亡くなってから称賛されるのではなく、今評価してくれ」(※4)と語っていた。
テイクオフのフロウとリリシズムが、ヒップホップとポップカルチャーに与えた影響は計り知れない。
(※1)https://www.billboard.com/music/rb-hip-hop/migos-culture-rap-trio-impact-history-review-7670070/
(※2)https://youtu.be/Sf2ttFEyptg
(※3)https://youtu.be/h-YHj5LkCOI
(※4)https://youtu.be/aRFJ-lTyAAk