aiko、ファン一人ひとりに届けた歌と大切な思い 全29曲熱唱、祝福ムードに溢れた特別な一夜

aiko『Love Like Pop vol.22』ファイナルレポ

 2021年12月14日。この日はaikoにとって、そしてファンにとって忘れられない1日となったことだろう。この日、aikoが全国18カ所35公演に及ぶライブツアー『Love Like Pop vol.22』の千秋楽を迎えた。

aiko『Love Like Pop vol.22』(写真=岡田貴之)

 同日19時の東京ガーデンシアターでは、aikoの登場を待ちきれんとばかりに会場のBGMに合わせた手拍子が鳴り響く。会場が暗転し、ピアノサウンドが流れると、ステージ上のスクリーンに赤字でライブツアーのタイトルが映し出される。その後、グリーンの衣装に身を包んだaikoとバンドメンバーがステージに現れ、「Last」の演奏が始まった。間奏ではダンスステップのような動きも見せ、バンドメンバーの演奏が光るロックサウンドのイントロが印象的な「磁石」に繋げていく。ステージを動き回ったり飛び跳ねたりと、早くもフルスロットルなパフォーマンスでファンを魅了するaiko。だが、ファンも魅せられるだけではない。手を挙げ、身体を揺らし、楽しんでいることを全力でaikoに伝えていく。

aiko『Love Like Pop vol.22』(写真=岡田貴之)

 「喋らなかったらスポットライト当たらないんですね。ずっとマイケル・ジャクソンの真似しとったのに(笑)」と、笑いを誘うトークで最初のMCを投下。そして「みなさんとこうして過ごせるのがめちゃくちゃ嬉しい分、ツアーが終わってしまうことが寂しい。でも、その寂しいがなくなるように、楽しいしかない時間を過ごしますので、みなさん最後までよろしくお願いします」と挨拶した。

 意気込みを語ったあとは、アウトロで生口笛を吹く「Smooch!」、バイオリンやギターなどの楽器隊の演奏によってドラマチックに歌われた「シアワセ」、2人の切ない変化を明るいメロディに乗せた「列車」らを次々に畳み掛け、会場の熱気をどんどん高めていく。

 会場を見渡してファンとコミュニケーションを取ったり、バンドメンバーとツアーの思い出を振り返ったあと、「えりあし」、「メロンソーダ」、「ばいばーーい」とじっくり聴きいるバラードと自然と手拍子を鳴らしたくなるポップナンバーを織りまぜ、次は何の曲が来るのかとオーディエンスは期待に胸を膨らませていった。

aiko『Love Like Pop vol.22』(写真=岡田貴之)

 ファンからのQ&Aコーナーを挟み、披露されたのは「しらふの夢」。ピンクや紫のライトとバイオリンなど楽器隊の美しい音色も相まって、ドリーミーな空間の中歌い上げた。続く「シャッター」は、ライブならではアレンジでノリの良いジャジーな雰囲気に。また、次曲のミドルテンポのナンバー「愛で僕は」の後半に花道の先に伸びるステージへ移動し、メロディに合わせて身体を動かしつつ、しっとりと歌い上げていく。ゆったりと重く響くベースらの低音も心地よかった。

 さらに9月にリリースしたニューシングルの表題曲で、片想いを歌った「食べた愛」や、相手を思う気持ちと天気を掛け合わせた「心日和」、ダンサブルでキャッチーな「夢見る隙間」などを次々と投下し、全開かと思っていたギアをさらに上げていく。隅々までステージを移動しながら歌い、ファンと交流をし、かなりパワフルにライブを作り上げる。

 声を出したコールアンドレスポンスができない代わりに男子はハタキ、女子は掃除機、そうでない人は窓拭き、という大掃除の動きを取り入れたaikoのライブ恒例の「男子!女子!」のコールアンドレスポンスでみんなで楽しく身体を温めると、あっという間に本編終盤戦。「58cm」を歌ったあと、ラストの曲として最高にポップかつキュートな「ストロー」を全力で手を振りながら披露して盛り上げる。

aiko『Love Like Pop vol.22』(写真=岡田貴之)

 「ありがとうございました」と挨拶をして、ステージを後にしたaikoとバンドメンバーたち。残すはアンコール数曲か、夢のような時間がもうすぐ終わってしまう……と思いきや、もはやこの日はここからが本編と言わんばかりのライブであった。

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