Psycho le Cému、愛を探求する5人の旅はこれからも続くーー思い出の地にて20年のキャリア総ざらいした特別な夜

Psycho le Cému、20周年ライブレポ

 Psycho le Cémuが、メジャーデビュー20周年記念ライブ『Major debut 20th Anniversary Live RESISTANCE~もう一度、くちづけを~』を2022年10月2日、新宿BLAZEで開催した。彼らは20年前の10月2日にメジャーデビューを果たし、かつ当日に新宿アルタ前でフリーライブを行っている。まさに思い出の場所での一夜限りのスペシャル公演で、20年間のバンドの道程やキャリアが垣間見えるステージとなった。

 会場はコロナ対策もあって座席仕様だったが、メンバーの登場で早くも総立ち状態に。温かい拍手の中、公演当日に配信リリースされた20周年記念シングル「もう一度、くちづけを」でライブの幕が開ける。ジャズのエッセンスが散りばめられたサウンドと小気味いいリズム、甘美なテイストが三位一体となったバンドの新機軸で、20年を経てもなお、弛まぬ開拓精神をうかがわせるナンバーだ。

 その後も、YURAサマ(Dr)のダイナミックなドラミング、seek(Ba)の煽りに導かれるように会場の空気が熱気を帯びていく。観客が身につけたカラフルなブレスレット型サイリウムが、宙を舞うように光輝く景色は壮観だ。3曲目「銀狼」では、より激しくディープな世界へと誘い、場内はヘッドバンギングが炸裂。

 ここでDAISHI(Vo)が、「この日を迎えられたのもみんなの愛のおかげです。最高の夜にしましょう!」と挨拶。大人の芳香を漂わせる「ムーンライトダンス」では、seekの渋みのあるアップライトベースの音色、Lida(Gt)とAYA(Gt)の軽妙なギターコンビネーションも冴え渡る。

 そして楽器陣のソロをリレーのようにつないで魅せた「一億のパルチザン」へと続き、DAISHIの「はしゃごうか!」という声をきっかけにパフォーマンスはさらに白熱。ドラマティックな曲展開や、硬派な演奏で観客を引き込んでいく。また「道の空」では、DAISHIのボーカルに合わせてseekが歌を口ずさみながら、ステージの下手から上手へと移動し、客席とコミュニケーションをとる姿も印象的だ。

 爽やか切ないミディアムナンバー「With」では穏やかな空気に包まれ、メンバーからも笑みがこぼれる。ステージ上でのアイコンタクトや何気ないやり取りから、5人の絶妙な距離感とあうんの呼吸が伝わってくる。それは、20年という年月を経たからこそ培われたものに違いない。AYAによる“メンバーいじり”のMCネタなど、笑いの絶えないトークからも、気心知れた5人の関係性が感じとれる。親しみやすいキャラクターでありつつ、音楽を奏でればタフで逞しい。そのギャップも彼らの魅力だろう。

 こうして「みんなで楽しく踊ろう!」というYURAサマの呼びかけで、一気に後半戦へ。「BLADE DANCE」では全員が楽器を置いたかと思えば、ユーロビートに乗せてダンスを披露し、5人がそれぞれ歌声を聴かせる場面も。その後の「アクエリア」は、Lidaとseekが楽器を持ち、YURAサマとAYAは引き続きダンスを担当。そんな変幻自在な姿は、Psycho le Cémuの真骨頂といえる。

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