john「春嵐」、Chinozo「グッバイ宣言」、すりぃ「エゴロック」…TikTokでのバズから見るVOCALOIDシーンの可能性
こうして数年前から少しずつ広まりつつある、TikTokを土壌としたVOCALOID楽曲の人気拡大。それは2022年に入っても続いており、今徐々に火がつき始めている曲といえば、やはりなきそ「ド屑」だろう。
今年3月に投稿された本曲は、2022年10月初旬現在までですでに動画再生数100万回を突破。加えて楽曲使用動画数も、40秒ver.と20秒ver.の合計で5000件を超えている状況だ。同曲に関しては「歌ってみた」動画での広まりが主であることが予測できる。ハッシュタグ検索の際、楽曲名のみでの視聴回数は約4700万回、「#ド屑を歌ってみた」という「歌ってみた」専用ハッシュタグでも約300万回の視聴回数を記録している。この傾向は今回ピックアップしたどの楽曲にも当てはまらない。かつすでにYouTubeでの「歌ってみた」動画が1000万回再生を超える投稿も多いピノキオピー「神っぽいな」(2021年)と比較した際、こちらはTikTok内での専用ハッシュタグが約190万回視聴に留まっている点もあわせて考えると、YouTubeではなくTikTok内における「歌ってみた」が「ド屑」ブームの火元であることは間違いないだろう。その流れを受けてか、YouTubeでも「歌ってみた」動画の投稿が広まりつつある。
こうして見ると、TikTokはすでにボカロ曲のヒットに一役買う立派なプラットフォームとなっている一方、公式アカウント未設立のVOCALOIDプロデューサーもまだまだ多い。ここを起因にバズを巻き起こしたアーティストの大半はTikTokの環境をしっかり整えている点が共通点として挙げられる。そういった意味ではVOCALOIDシーンにおいてTikTokはまだブルーオーシャンの可能性を残しており、発信チャネルのひとつとしてTikTokの活用は今後ますます広がりを見せるはずだ。未開拓な部分も多く残るこの土壌から、音楽・カルチャーシーン全体を席巻する次なるブームが、今この瞬間も産声を上げているかもしれない。
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