アニメ『チェンソーマン』OP&ED曲のラインナップが話題に アーティストサイドの原作に対する熱烈な支持も

 10月11日から放送がスタートするアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)のオープニングテーマが、共同編曲にKing Gnu/millennium paradeの常田大希を迎えた米津玄師の「KICK BACK」に決定したことが、9月19日に開催されたワールドプレミアでの舞台挨拶で発表され、同時に楽曲が使われたトレーラー映像が公開された。

Chainsaw Man - Main Trailer /『チェンソーマン』本予告

 画面を縦横無尽に飛び回りながら悪魔を切り刻む主人公・デンジの映像。共に流れるのは、ツーステップのアッパーなビートに乗せた、米津のがなりたてるような歌声。米津節と呼べるメロディは、切なさをはらんでワクワクとドキドキと同時に、胸をわしづかみにするような苦しさも与えてくれる。米津と常田、2人の感性が化学反応を巻き起こしている。

 また、ワールドプレミアでは米津玄師と常田大希によるコメント映像が届けられた。もともと原作のファンで、毎週漫画を読み「久しぶりに、次どうなるんだってめちゃくちゃ楽しみだった」と話した米津。主題歌に決まる前から常田と『チェンソーマン』について「あれいいよね」と話題にしていたという。常田は「オルタナティブでロックな曲。米津玄師史上いちばんシャウトしてるのでは」と評す。さらに、「自分は米津に油を注ぐ役割だった。燃え上がらせる役割」とも。それに対して米津は、「大希が参加してくれたことで、自分からは出てこなかったであろう表現に。ブーストしてくれて大満足」と返した。

TVアニメ『チェンソーマン』 ワールドプレミア 舞台挨拶

 オルタナティブでロック全開の「KICK BACK」には、モーニング娘。の「そうだ!We're ALIVE」をサンプリングしていることも明かし、「小学生の時にモーニング娘。の曲がいろんなところで流れていた。それを避けて通るのは不可能なくらい。〈幸せになりたい〉という歌詞を歌っているんだけど、〈しあわせ〉じゃなく〈しやわせ〉って歌っているんだよね。それが頭でずっとリフレインしていた小学生時代があって。制作にあたってそれを思い出して、それを紐解いていったら“これしかない”って思った」と話す。

モーニング娘。 『そうだ!We're ALIVE』 (MV)

 「そうだ!We're ALIVE」は、モーニング娘。の2002年の楽曲で、アンセム感あふれる、ファンク、ロック、ロシア民謡、そしてサビではちょっと切ない爽やかなメロディという多彩な要素が1曲に融合したミクスチャーサウンドが意表を突く楽曲。歌詞もシュールな部分がありながら、『チェンソーマン』の主人公・デンジの思いと通じるところがあり、“なるほど”と思わせてくれる。目のつけ所がすごいと言わざるを得ない選択は、さすがだ。そうした大胆なアイデアを「マジで狂ってる」と、評した常田。天才と天才の間に流れるシンパシーが、独自のクリエイティビティを生み出した。

 米津玄師がTVアニメ主題歌を手がけるのは、2017年『僕のヒーローアカデミア』第2期(日本テレビ系)第1クールオープニングテーマ「ピースサイン」以来。アニメ映画では2019年『海獣の子供』以来となる。ここ数年は『ノーサイド・ゲーム』や『MIU404』(TBS系)などテレビドラマの主題歌を手がけ、今年は映画『シン・ウルトラマン』主題歌「M八七」が話題になった。これまでも登場人物たちの心に寄り添い、セリフに出てこない思いを代わりに叫んで来た。「KICK BACK」も物語が進むにつれて、歌詞に込められた思いがデンジをはじめとした登場人物たちとリンクして、物語により深みを与えてくれることだろう。

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